骨転移のみを有しているHER2陰性乳癌にエベロリムスが有効である可能性が明らかとなった。多施設プラセボ対照無作為化フェーズ2試験であるRADAR試験の結果、有意ではないが良い傾向が明らかとなったもの。3月21日から24日にオーストリア・ウィーンで開催されている第8回European Breast Cancer Conference(EBCC)で、German Breasts GroupのS.Loibi氏によって発表された。

 エベロリムスは経口mTOR阻害剤で、破骨細胞の形成と活性を抑制することがin vitroの実験で示されている。そのため、骨転移が増悪している進行乳癌でエベロリムスの効果を評価することがRADAR試験の狙いだった。

 RADAR試験に参加したのは、骨転移のみを有する乳癌患者でHER2陰性でホルモン受容体が陽性か陰性の患者。ホルモン療法であれば2レジメンまで、化学療法は1レジメンまで受けた経験のある患者を適格とした。全ての患者はゾレドロン酸の投与を受け、ホルモン陽性患者は内分泌療法も受けた。患者にはまず全員8週間、エベロリムスを毎日10?経口投与された。8週終了時点で、完全奏効(CR)/部分奏効(PR)となった患者はエベロリムスの投与を継続した。病勢安定(SD)となった患者は、そのあとエベロリムスを継続投与される群とプラセボを投与される群に無作為に割り付けられた。

 主要評価項目は、8週時点でSDとなった患者が増悪するまでの時間(TTP)。二次評価項目は8週後の奏効率、8週投与後に効果が見られた患者のTTP、全体としての臨床利益率、安全性だった。

 目的とした評価を行うためには110人の患者登録が必要だったが、患者のリクルートに時間がかかったことと無作為化群と中止群でリンパ節転移の状態など患者背景に差があったため、2012年12月に患者登録は中止された。

 2011年6月から2012年10月までに89人の患者が登録された。年齢中央値は59.5歳、全員がHER2陰性で98%がホルモン受容体陽性だった。15%の患者が化学療法の経験があり、58%の患者が転移巣に対するホルモン療法を受けていた。3分の1の患者は同時にホルモン療法を受けた。3人の患者は投薬を開始されず、41人が最初の8週間で投薬が中止され、そのうち32人が病状の進行によるものだった。6人で効果が認められ、エベロリムスは継続投与された。2人が今も治療を受けている。

 8週後でSDだった39人がエベロリムス群(18人)とプラセボ群(21人)に割り付けられた。27人が増悪のため試験から脱落、9人が副作用のため中止となった。4人が現在も投薬を受けている。プラセボ群のTTP中央値は2.9カ月(95%信頼区間:1.6-4.1)、エベロリムス群は8.5カ月(95%信頼区間:3.8-9.2)、ハザード比0.559(95%信頼区間:0.284-1.10)、p=0.092で統計学的には有意ではなかったが、エベロリムス群で良い傾向があった。サブグループ解析では同時に内分泌療法を行っていない群で特にエベロリムス群の方が優れていた。