HER2陽性乳癌の術前補助療法としてトラスツズマブPertuzumabは標準化学療法と併用しても循環器への影響、全体の安全性は許容範囲で、高い効果を示すことが明らかとなった。オープンラベル多施設無作為化フェーズ2試験であるTRYPHAENA試験の結果示されたもの。3月21日から24日にオーストリアウィーンで開催されている第8回European Breast Cancer Conference(EBCC)で、ドイツNationales Centrum fur TumorerkrankungenのA.Schneeweiss氏によって発表された。

 Pertuzumabはトラスツズマブと異なるエピトープを認識する抗HER2抗体で、HER2の二量体化を阻害する。HER2陽性乳癌に対する術前補助療法として、Pertuzumabとトラスツズマブを併用すると効果が高まることが示されている。TRYPHAENA試験は、HER2陽性乳癌に対する術前補助療法として、Pertuzumabとトラスツズマブに加えてアントラサイクリン系抗癌剤を含むレジメン、もしくはアントラサイクリン系抗癌剤を含まないレジメンを施行した場合の効果と循環器への安全性を評価したもの。
 
 試験はHER2陽性手術可能、局所進行または炎症性乳癌患者を、A群、B群、C群の3群に分けて行われた。1サイクルは3週間とした。A群は1サイクル目から6サイクル目までPertuzumabとトラスツズマブを投与され、1サイクル目から3サイクル目はFEC(5FU 500?/m2、エピルビシン100?/m2、シクロホスファミド600?/m2)、4サイクル目から6サイクル目まではドセタキセル75?/m2(忍容性がある場合はC群以外は100?/m2まで増量)を併用した。Pertuzumabの投与量は導入時は840?、維持療法段階で420?とした。トラスツズマブの投与量は導入時は8?/kg、維持療法段階で6?/kgとした。

 B群には、1サイクル目から3サイクル目にFECを行い、4サイクル目から6サイクル目はPertuzumabとトラスツズマブ、ドセタキセルを投与した。C群には1から6サイクルまで、Pertuzumabとトラスツズマブ、ドセタキセル、カルボプラチン(AUC6)が投与された。

 主要評価項目は、術前補助療法中の循環器への安全性で、左室の収縮機能障害(LVSD)と左室駆出分画率(LVEF)で評価した。二次評価項目は全体の安全性とpCR(病理学的完全奏効、ypT0/is)率だった。

 2009年12月から2011年1月までに225人の患者が登録された。患者背景は各群間で差はなかった。年齢中央値は50歳、腫瘍径中央値は45?。患者の49%がホルモン受容体陰性で、病理学的疾患グレード3が35%、臨床的リンパ節陰性が30%だった。A群に73人、B群に75人、C群に77人が登録された。

 試験の結果、術前補助療法中にグレード3以上の症状のあるLVSDの発現はA群で0%、B群で2.7%、C群で0%だった。LVEFの減少がベースラインから10%以上から50%未満となった患者はA群で4.2%、B群で5.3%、C群で3.9%だった。

 全体として多かったグレード3以上の副作用は好中球減少症(45.3%)、発熱性好中球減少症(14.8%)、白血球減少症(14.3%)、貧血(7.2%)、下痢(7.2%)だった。

 pCR率はA群が61.6%、B群が57.3%、C群が66.2%だった。奏効率はA群が91.8%、B群が94.7%、C群は89.6%だった。