10th International Congress on Targeted Anticancer Therapies(TAT2012)の3月10日のセッションで注目を集めたのは、エピジェネティクターゲットのセッションだった。DNAのメチル化、アセチル化などを通して、遺伝子の転写が制御されており、その異常を抑制する薬剤の開発だ。

 米国立衛生研究所(NIH)のSusan Bates氏は、まず、既に販売されているヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を紹介した。T細胞リンパ腫を対象に米国で承認されているボリノスタットとRomidepsinだ。ボリノスタットはHDAC1-3と6を標的とし日本でも承認されている。RomidepsinはHDAC1-3と8を阻害し、HDAC6と4も弱く抑える。

 このほかに開発が進んでいるものとして、HDAC1を阻害するEntinostat(SNDX-275)の乳癌を対象にしたフェーズ2試験が行われている。またHDAC1-4 を抑えるPanobinostat(LBH589)はリンパ腫を対象にフェーズ1試験、同様にHDAC1-4を抑えるBelinostat(PDX101)は再発固形癌を対象としたフェーズ1試験が行われている。前臨床にはPCI-34051 もある。

 HDAC以外のエピジェネティクスに関連する酵素遺伝子の異常は、膀胱癌や腎細胞癌などで報告されている。ヒストンデメチラーゼ、ヒストンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、リン酸化やユビキチン化を調節する酵素も標的として考えられている。DNAメチル化、脱メチル化、クロマチンリモデリング蛋白も標的になるという。

 DNAメチル化阻害剤は、 decitabine、アザシチジンが米国で骨髄異形成症候群で承認され、アザシチジンは日本でも承認されている。臨床試験が行われているものには、Zebularineがある。

 この他、前臨床試験の段階だが、アセチル化ヒストン修飾剤(JQ1)、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤には米Epizyme社のEZH2を標的とした阻害剤や、同じくEZH2を阻害する3-Deazaneplanocin A、DZNePがある。DOT1Lを標的としたものにはEPZ004777がある。ヒストンデメチラーゼ阻害剤には、LSD1を標的としたモノアミンオキシダーゼ阻害剤(Paraglyine、clorgyline、tranylcypromine)やポリアミン誘導体(Bisquanidines、biguanides)がある。