高度選択的可逆性pan-class I PI3K(phosphoinositol 3-Kinase)阻害剤であるBAY80-6946は認容性があり、効果も期待できることが明らかとなった。進行固形癌患者を対象としたフェーズ1試験の結果、示されたもの。成果は3月8日から10日にオランダアムステルダムで開催されている10th International Congress on Targeted Anticancer Therapies(TAT2012)で、米South Texas Accelerated Research Therapeutics (START)のA. Patnaik氏によって発表された。BAY80-6946のフェーズ1試験は日本でも行われている。

 発表されたフェーズ1試験は米国内の3施設で28日間を1サイクルとして、BAY80-6946を1日目、8日目、15日目に1時間かけて静脈内投与することで行われた。まずBAY80-6946の投与量を0.1/kg、0.2/kg、0.4/kg、0.8/kg、1.2/kgに増加させていき、最大耐量(MTD)で人数を拡大する方法で行われた。2012年2月までに少なくとも1回の投与を受けた47人を対象に評価した。47人のうち13人が男性、年齢中央値は61歳(33−86)、乳癌が15人と最も多く、子宮内膜癌5人、胃/食道癌5人などだった。

 用量増加段階では、0.1/kgが1人(投与期間中央値180日)、0.2/kgが3人(30日)、0.4/kgが3人(120日)、0.8/kgが7人(60日)、1.2/kgが3人(39日)で、MTDとなった0.8/kg群には23人が追加された(56日)。

 0.8/kg群30人でグレード3/4の副作用は、血小板減少症が1件、アミラーゼ上昇が1件、皮疹が2件、疼痛が1件、肺炎が2件、高血糖が5件だった。

 抗腫瘍効果は0.8/kg群で、濾胞性非ホジキンリンパ腫患者3人、乳癌患者2人で部分奏効(PR)が認められた。現在、緩徐進行型および急速進行型リンパ腫を対象に有効性の評価が継続されている。乳癌などにも他の薬剤との併用が期待できるとした。

 なお、panPI3K阻害剤としては、XL-147、BKM120、GDC-0941、PKI−587も臨床開発が行われている。この他PI3K阻害剤のセッションではHERファミリー阻害剤とPI3K阻害剤の併用、MEK阻害剤とPISK阻害剤の併用などの開発が進んでいることが紹介された。