スイスFerring Pharmaceuticals社は、2012年2月28日、進行したホルモン依存性前立腺癌患者に投与した場合の前立腺体積減少効果において、degarelixは、ゴセレリン(黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)アゴニスト)+ビカルタミド(抗アンドロゲン薬)に対して非劣性であることが示されたと発表した。一方で下部尿路症状(頻尿、尿意切迫感、排尿躊躇など)を軽減する効果はdegarelixのほうが大きかったという。

 ゴナドトロピン放出ホルモン(GmRH)受容体拮抗薬degarelix(皮下注)に関する2件の臨床試験の結果は、第27回欧州泌尿器学会(EAU)総会で報告された。

 フェーズIIIb CS30は、中リスクから高リスクの前立腺癌患者を登録、放射線治療前のホルモン治療にdegarelixを適用し、ゴセレリン+ビカルタミドを用いた場合と比較したもの。12週の時点で、degarelixとゴセレリン+ビカルタミドの腫瘍縮小(前立腺体積の変化率の平均)は、degarelix群が-36.0%、ゴセレリン+ビカルタミド群では-35.3%と同様だった。加えて、degarelix群では下部尿路症状の軽減が大きかった。下部尿路症状は患者のQOLに大きな影響を与えるため、degarelixに認められた利益は重要と考えられた。有害事象発生率は両群間で同様だった。

 フェーズIIIb CS31試験は、広範な前立腺癌患者を登録して、前立腺体積減少におけるdegarelixの効果をゴセレリン+ビカルタミドと比較したもの。CS30試験で見られたと同様に、体積減少効果に差は無く、症候性の下部尿路症状を軽減する作用はdegarelixのほうが有意に高かった。

 ゴセレリンのようなLH-RHアゴニストをアンドロゲン枯渇療法に用いると、投与開始後に急速なテストステロン放出が起こる。これに対処するために治療開始時には抗アンドロゲン薬が併用される。GmRH受容体拮抗薬であるdegarelixは、当初からテストステロンの産生を遮断するため、抗アンドロゲン薬の併用は不要だ。

 先に行われた試験で、LH-RHアゴニストであるリュープロリドとdegarelixの比較が行われ、degarelixはリュープロリドに比べ速やかにテストステロン値を低下させること、さらに、前立腺特異抗原(PSA)値の上昇または死亡のリスクを34%低減すること(ハザード比は0.664、95%信頼区間:0.385-1.146)が示唆されている。その後の延長試験では、degarelix群のPSA値は3年後まで管理できていたと報告されている。