乳癌化学療法の認知機能への長期的な影響を調べたケースコホート研究で、20年以上前に術後CMF療法(シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル)を受けた乳癌女性では、癌の既往のない女性に比べて、認知機能がわずかだが統計的に有意に低下していることが明らかになった。化学療法は短期的に認知機能へ影響を及ぼすことが知られているが、長期的な影響を示したのは初めて。この結果はJournal of Clinical Oncology誌2月27日号に掲載された。

 研究の対象は、1976年から1995年にCMF療法を受けた50-80歳の乳癌患者196人(化学療法群)。術後ホルモン療法を受けた女性や二次発癌、再発、転移のあった女性は除外した。術後にCMF療法として、シクロホスファミド100mg/m2を第1日目から第14日目、メトトレキサート40mg/m2を第1日目と第8日目、フルオロウラシル600mg/m2を第1日目と第8日目に投与する治療を6サイクル受けていた。対照群は疾患リスク因子を調査しているRotterdam研究に登録し、癌の既往のない50-80歳の女性1509人。

 化学療法群の平均年齢は64.1歳、対照群は57.9歳(p<0.001)。化学療法群の女性が乳癌と診断された年齢は平均で42.9歳、診断から研究登録までの期間は平均21.2年(SD4.4年)だった。

 7つの神経心理学的検査を全員に行い、評価は年齢や教育、抑うつ尺度で調整した。

 その結果、化学療法群は対照群に比べて、言葉を思い出す即時記憶(p=0.015)や遅延記憶(p=0.002)、情報処理速度(p<0.001)、言語流暢性などの遂行機能(P=0.013)、思考と運動機能の調和を必要とする精神運動速度(p=0.001)が低かった。

 研究グループの一人であるオランダ癌研究所のSchagen氏は「この調査結果は、CMF療法で治療された乳癌女性において、より密接に認知機能をモニタする必要があることを示唆しているわけではない」と述べている。一方で、「乳癌治療の認知機能への長期的な影響を示すことで、乳癌患者が認知機能上の問題を経験したときに、適切なサポートが受けられるようにできるかもしれない」としている。