進行肝細胞癌に対するソラフェニブ投与は、肝外転移の有無にかかわらず有効な治療である可能性が示された。また、治療前の腫瘍マーカーが比較的低値な症例に長期間継続することが予後の延長につながると考えられた。1月14日に東京で開催された第5回日本肝がん分子標的治療研究会で、久留米大学内科学講座消化器内科部門の中野聖士氏が発表した。

 ソラフェニブは進行肝癌症例の生存期間を延長することが示されているが、肝外転移合併症例に限った報告は少ないため、肝外転移合併例に対するソラフェニブ治療の特徴を評価した。

 対象は、Kurume Liver Cancer Study Groupの参加施設を受診した症例。2009年5月から2010年12月に、ソラフェニブ治療を受けた進行肝癌96例。そのうち61例は肝外転移合併例だった。

 年齢は70歳代が42%と最も多く、次いで60歳代26%、80歳代18%だった。男性が8割、病因はHCVが61%、HBVが21%、非B非C例が18%だった。進行度分類はステージIV-Bが64%、ステージIV-Aが12%、ステージIIIが19%だった。

 肝外転移部位(重複あり)は、肺が41例、骨14例、リンパ節12例、副腎4例、腹膜4例だった。Child-Pughスコアは5点が57%、6点が35%、開始時1日投与量は800mgが52%、600mgが%、400mgが39%だった。有害事象で治療を中止した例は36例、病勢進行は27例で、治療中止につながった有害事象は主に肝機能障害8例、手足症候群7例、下痢が4例だった。

 全96症例のうち、30日以上の治療を受けたのは75%、そのうち治療効果は部分奏効(PR)13%、病勢安定(SD)が45%、病勢コントロール率は58%だった。

 全症例の生存期間中央値は11.6カ月、1年生存率は48%で、ソラフェニブの海外第3相試験であるSHARP試験の生存期間中央値10.7カ月、1年生存率44%とほぼ同等の結果だった。また、全症例の無増悪生存期間の中央値は3.2カ月だった。

 予後にかかわる因子として多変量解析を行った結果、治療前PIVKA-II(1000mAU/mL以上)がハザード比2.722(95%信頼区間:1.369-5.412、p=0.004)、治療期間(30日以上)がハザード比0.407(95%信頼区間:0.196-0.848、p=0.016)と有意な因子だった。

 肝外転移の有無別で生存期間の解析を行った結果、2グループ間で有意な差はなく(p=0.4785)、無増悪生存期間も差はなかった(p=0.8404)。

 こうした結果から中野氏は、「治療前の腫瘍マーカーが低いこと、治療期間が長いことが予後良好な因子であり、肝外転移の有無によって生存期間、無増悪期間ともに差はない」とした。