BRAF阻害剤vemurafenibを投与されている際、皮膚扁平上皮癌および角化棘細胞腫が見られることが知られている。そこでvemurafenib投与を受けている患者の組織を解析したところ、RAS変異、特にHRAS変異が高頻度に認められることが示された。

 米University of California、英Institute of Cancer Research、スイスHoffmann-La Roch社などのグループが見いだしたもので、NEJM誌に掲載された(2012:366;207-215)。

 進行黒色腫では、半数でBRAF遺伝子に変異が見られることが示されており、この変異によって腫瘍の増殖が促進されてしまっている。そこでBRAFを標的とした薬剤の開発が進められており、標準治療と比べて生存期間を延長する効果があることが明らかになってきた。一方で、BRAF阻害薬を投与していると、黒色腫ではない、皮膚扁平上皮癌や角化棘細胞種が見られることが明らかになってきた。

 今回、同グループは、BRAF阻害剤vemurafenibの臨床試験に参加した患者の皮膚病変を対象に、癌遺伝子の変異を解析した。対象は、BRAF遺伝子に変異がある黒色腫患者で、HRAS、KRAS、NRAS、CDKN2A、TP53遺伝子を解析した。

 11人の患者から採取した21サンプルを解析したところ、21サンプル中、13サンプルに14のRAS(HRAS、NRAS、KRAS)に変異が見いだされた。うちHRAS変異が最も多く、12変異見いだされた。見いだした変異を評価するため、12人の患者から採取した14サンプルを対象に解析した結果、8変異が見いだされた(うちHRASは4変異)。計35サンプルの60%にあたる21サンプルにRAS変異が見られたことになる。

 マウスモデルでは、vemurafenibアナログは、最も多く見いだされたHRAS遺伝子のQ61L変異による皮膚癌の発生を誘発するものではかったが、HRAS変異陽性腫瘍の増殖を促した。またこの増殖は、MEK阻害剤を併用することによって阻止することが可能だった。