遺伝子発現プロファイルを用いて大腸癌の再発リスクを層別化するツール「ColoPrint」により、ステージIIの大腸癌患者の再発リスクをより正確に層別化できる可能性が示された。同ステージの大腸癌患者に対する術後補助化学療法の有用性にはいまだ議論の余地があるとみられているが、治療法を決定するうえで、ColoPrintはこれまでの臨床病理学的なパラメータを補足できると考えられる。1月19日から21日までサンフランシスコで開催された2012 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI)で、スペインVall d’Hebron University HospitalのJosep Tabernero氏が発表した。

 
 ColoPrintは、ステージI〜IIIの大腸癌患者の再発リスクを18遺伝子の発現プロファイルによって層別化するツール。これまでに複数の臨床試験でデータが蓄積されてきた。Tabernero氏らは、これらのデータからステージIIの大腸癌患者320人について解析し、転帰を予測するColoPrintの有用性を検討した。

 320人中、ColoPrintで低リスクに分類された患者は209人、高リスクに分類された患者は111人だった。検索リンパ節数の中央値は低リスク群19個、高リスク群18個で、12個以上のリンパ節が検索された患者はそれぞれ80.4%と73.9%だった。深達度T4の患者はそれぞれ12.9%と9.0%だった。追跡期間中央値は70カ月だった。
 
 無再発生存率(RFS)は、低リスク患者と高リスク患者の間に有意差がみられた(p=0.001)。3年RFSは、低リスク患者では91%(95%信頼区間:86-95)、高リスク患者では74%(同:64-83)、5年RFSは、低リスク患者では88%(同:83-93)、高リスク患者では71%(同:62-80.5)となった。
 
 3年RFSの単変量解析では、ColoPrint(高リスク患者対低リスク患者)が唯一の有意な臨床パラメータとして抽出され、ハザード比は2.9(95%信頼区間:1.55-5.39、p=0.001)だった。
 
 一方、ASCOは高リスクのパラメータとして、T4、穿孔、検索リンパ節数12個未満などを勧告している。この勧告で分類した低リスク患者と高リスク患者の3年RFSをみると、ハザード比は1.4(95%信頼区間:0.76-2.59、p=0.283)だった。さらに、NCCNガイドラインのパラメータ(以下、NCCNと表記)、深達度、マイクロサテライト不安定性(MSI)などの臨床病理学的なリスク因子で患者を分類した場合もRFSに有意差はなく、十分な層別化にはつながらないと考えられた。
 
 深達度T3でマイクロサテライト安定性(MSS)の患者227人のサブグループ解析において、3年RFSは、ColoPrintで分類した低リスク患者で91%(95%信頼区間:86-96)、高リスク患者で73%(同:63-83)、ハザード比は3.04(同:1.45-6.34、p=0.003)となった。一方、同患者群を臨床病理学的なリスク因子で分類した場合、RFSに有意差はなかった。
 
 ColoPrintと臨床病理学的なリスク因子の併用により、最良のリスク層別化が実現する可能性も示された。ColoPrintで低リスク+NCCNガイドライン(以下NCCN)で低リスク、ColoPrintで低リスク+NCCNで高リスク、ColoPrintで高リスク+NCCNで低リスク、ColoPrintで高リスク+NCCNで高リスク――のいずれかに全対象を分類し、3年RFSをみると、それぞれ93%、88%、76%、71%だった。T3-MSSの患者に限定しても結果はほぼ一致した。
 
 Tabernero氏は、「ColoPrintで、転移が発生する高リスク患者を同定することができる。これらの患者は術後補助化学療法で有用性が得られる可能性が高い」と話した。

 すでに欧米とアジアで、ステージIIおよびIIIの患者を対象とする前向きのProspective Assessment of Risk Stratification by ColoPrint(PARSC)試験が開始されている。同試験ではステージIIの患者575人の登録を目指し、最終患者登録は2012年12月になるとみられる。