KRAS遺伝子野生型の転移性大腸癌における抗EGFR抗体セツキシマブの効果は、免疫染色法(IHC法)でEGFRの発現が高い群の方が、EGFRの発現が弱い群よりも高い可能性が明らかとなった。レトロスペクティブな解析で症例数もさほど多くはないが、KRAS遺伝子型の判別をせずに、EGFRの発現量と抗EGFR抗体の効果に関係はないとされた過去の試験結果に一石を投じるものと言えそうだ。また抗EGFR抗体で治療する際に有効な患者の選択、予後予測に利用できる可能性がある。

 成果は1月19日から21日に米サンフランシスコで開催された2012 Gastrointestinal Cancer Symposium(ASCO GI)で、国立がん研究センター中央病院の高橋直樹氏によって発表された。

 研究グループは、2008年8月から2011年11月までにKRAS遺伝子型の検査とEGFRの染色検査を受けた378人の進行大腸癌患者の記録を調べた。KRAS遺伝子変異型、KRAS遺伝子野生型だが適格基準外の患者データを除いた88人のデータを解析に用いた。患者はイリノテカンベースの化学療法とセツキシマブの併用か、セツキシマブの単剤投与を受けていた。投薬は病状の進行、許容範囲を超える毒性が発現するまで行われた。

 IHC法でEGFRの発現が強い方から3+、2+、1+、0+と分けられ、それぞれ17人、33人、20人、18人だった。2+以下の71人(グループA)と3+の17人(グループB)の患者背景を調べると、原発巣のみが異なり、グループAは結腸、直腸がそれぞれ半数ずつだったのに対して、グループBは82%が結腸で18%が直腸だった(p=0.016)。

 無増悪生存期間中央値はグループAが5.4カ月(95%信頼区間:4.0-6.6)、グループBが9.1カ月(95%信頼区間:3.0-15.1)、p=0.029と有意にグループBで延長していた。全生存期間中央値はグループAが9.8カ月(95%信頼区間:6.0-13.6)、グループBが9.1カ月(95%信頼区間:7.8-28.0)、p=0.072とグループBで延長傾向があった。奏効率はグループAが22.5%(95%信頼区間:13.5-34.0)に対し、グループBが47.1%(95%信頼区間:23.0-72.2)、p=0.066でグループBが高かった。