進行肝細胞癌に対するソラフェニブ療法後の後治療として、肝動注化学療法は肝予備能が低下した症例に対しても安全に施行可能で、有効である可能性が示された。1月14日に東京で開催された第5回日本肝がん分子標的治療研究会で、金沢大学附属病院消化器内科の寺島健志氏が発表した。

 寺島氏らは、2006年10月から2011年10月までに同院でソラフェニブ療法を行った進行肝細胞癌56例を対象に、ソラフェニブ療法後の治療の有無、内容、治療成績、特に肝動注化学療法についての成績について、後ろ向きに解析を行った。

 対象56例の背景は、年齢中央値68歳、PS 0が51例で、HBVが19例、HCVが25例、Child-Pughスコアは5点が23例、6点が19例、7点12例、8点が1例(ソラフェニブ治療開始を決めた時点では全例Child-Pugh Aだった)、前治療がある例は53例、脈管侵襲がある例が18例、肝外病変がある例が28例だった。病期は、ステージ3までが23例、ステージ4Aが7例、ステージ4Bが26例だった。

 RECIST ver1.1で評価したソラフェニブ療法の成績は、部分奏効(PR)が1例、病勢安定(SD)が32例、病勢進行(PD)が19例で、病勢コントロール率は59%だった。無増悪生存期間中央値は2.5カ月で、生存期間中央値は13.0カ月だった。

 解析時点でソラフェニブ療法を中止したのは49例で、うち30例は腫瘍進展、17例は有害事象、2例は自己中断がその理由だった。治療を中止した49例中、後治療を行ったのは29例(59%)で、後治療の内容(重複あり)としては、肝動注化学療法が14例、放射線療法が9例、全身化学療法が8例、肝動脈化学塞栓療法(TACE)が5例、ラジオ波焼灼術(RFA)が3例、他の薬剤の臨床試験に参加したのが12例だった。

 後治療として肝動注化学療法を施行した14例の患者背景を解析した結果、年例中央値67.5歳、PS 0が13例、HBVが5例、HCVが8例、ソラフェニブ開始時のChild-Pughスコアは5点が7例、6点が5例、7点が2例。肝動注開始時のChild-Pughスコアは5点が4例、6点が3例、7〜8点が7例だった。脈管侵襲がある例は5例、肝外病変がある例が5例、病期はステージ2〜3が8例、ステージ4Aが1例、ステージ4Bが5例だった。

 肝動注化学療法を施行した14例の治療成績は、PRが5例、SDが8例、PDが1例で、奏効率36%、肝動注化学療法施行後の無増悪生存期間中央値は4.6カ月、生存期間中央値は7.3カ月だった。また、奏効が得られて追加で根治治療が行われた症例の中に、長期生存例が存在した。

 肝動注化学療法の有害事象は、グレード3/4の白血球減少が29%、グレード3/4の好中球減少が43%、グレード3/4の血小板減少は9%、グレード3/4の貧血は14%だったが、いずれも管理可能だった。

 後治療の有無別に生存期間を解析した結果、後治療なし(20例)の生存期間中央値は5.2カ月だったのに対し、後治療あり(29例)の生存期間中央値は15.0カ月と有意に延長していた。

 後治療を実施できた要因を検討した結果、ソラフェニブ療法の前治療として肝動注化学療法をしていない場合、ソラフェニブの中止理由が有害事象ではなく腫瘍進展であった場合、ソラフェニブ終了時の肝予備能がChild-Pugh B、Cに比べてAであった場合、後治療を実施できた患者の割合が有意に高かった。

 これらの結果から寺島氏は、「ソラフェニブ療法後の後治療として肝動注化学療法は肝予備能が低下した症例でも安全に施行可能で、効果的であり、また肝動注化学療法のほか全身化学療法や放射線療法などの集学的治療を行うことで予後の延長が期待できると考えられる。また、ソラフェニブ療法後に後治療を行うために、ソラフェニブ治療中、肝予備能や全身状態を維持することが重要だ」と締めくくった。