中間ステージ(BCLC B)の切除不能、多結節性で無症候性の肝細胞癌患者を対象に、ソラフェニブとドキソルビシン漏出ビーズ(DEBDOX)を使った肝動脈化学塞栓療法TACE:Transcatheter Arterial Chemoembolization)を併用すると、ソラフェニブの代わりにプラセボを投与する場合に比べて、増悪までの時間(TTP)が延長できる可能性が明らかとなった。無作為化二重盲検フェーズ2試験SPACEの結果、示されたもの。成果は1月19日から21日に米サンフランシスコで開催された2012 Gastrointestinal Cancer Symposium(ASCO GI)で、イタリアPisa University HospitalのRiccardo Lencioni氏によって発表された。

 BCLC Bは本来TACEが対象となる群で、前倒しでソラフェニブと併用した試験になる。
 
 SPACE試験は13カ国85施設で行われたフェーズ2試験。4週間を1サイクルとしてソラフェニブを1日2回400mg投与する群(154人)とプラセボを投与する群(153人)にわけ、どちらの群にもTACEを実施した。1回目のTACEはソラフェニブまたはプラセボの投与を開始してから3日から7日後に行われた。2回目以降のTACEは3サイクル目、7サイクル目、13サイクル目のそれぞれ1日目(±4日)に行われ、その後は6サイクルごとに行われた。医師が必要と感じた場合には7サイクル目と13サイクル目の間、13サイクル目と19サイクル目の間に追加のTACEを実施できることとした。

 ソラフェニブ併用群の年齢中央値は、64.5歳、男性が87.7%、B型肝炎由来が35.7%、C型肝炎由来が25.3%、アルコール性が17.5%だった。欧州の患者が50.6%、北米が11.0%、アジアが38.8%(日本は不参加)。プラセボ併用群の年齢中央値は、63.0歳、男性が82.4%、B型肝炎由来が32.7%、C型肝炎由来が26.8%、アルコール性が19.6%だった。欧州の患者が51.6%、北米が11.1%、アジアが37.3%。

 試験の結果、治療関連副作用で、グレード3/4でソラフェニブ群に多かったのは下痢、手足症候群、倦怠感、食欲不振、高血圧、皮疹/落剥などだった。治療に関連したグレード5はソラフェニブ群9.2%、プラセボ群9.3%に見られた。

 主要評価項目であったTTPは中央値がソラフェニブ群169日(95%信頼区間:166-219)、プラセボ群166日(95%信頼区間:113-168)で、ハザード比は0.797(95%信頼区間:0.588-1.08)、p=0.072でソラフェニブ群の方が良かった。副次評価項目であった血管浸潤/肝外への広がりは、ソラフェニブ群、プラセボ群ともに中央値に到達しておらず、ハザード比は0.621(95%信頼区間:0.321-1.200)、p=0.076でソラフェニブ群に良い傾向があった。全生存期間は、ソラフェニブ群、プラセボ群ともに中央値に到達しておらず、ハザード比は0.898(95%信頼区間:0.606-1.33)、p=0.295で両者に差はなかった。

 TACEによる利益が得られなくなるまでの時間と定義したTTUP(Time to untreatable progression)は中央値がソラフェニブ群95日(95%信頼区間:62-113)、プラセボ群244日(95%信頼区間:158-288)で、ハザード比は1.586(95%信頼区間:1.200-2.096)、p=0.999でソラフェニブ群の方が短かった。

 奏効率はソラフェニブ群35.7%(完全奏効は13.0%)、プラセボ群は28.1%(完全奏効は11.1%)だった。

 TACEの回数はソラフェニブ群が1回が35.9%、2回が35.3%、3回が13.1%、4回以上が13.7%に対して、プラセボ群が1回が19.2%、2回が37.7%、3回が19.2%、4回以上が21.9%だった。

 アジア人と非アジア人での薬剤投与期間について解析したところ、非アジア人ではソラフェニブ投与期間中央値が17週、プラセボ投与期間中央値が28週でソラフェニブが早期に終了しているのに対して、アジア人ではソラフェニブ投与期間中央値が30週、プラセボ投与期間中央値が26週で、ソラフェニブがより長期間投与されていた。

 地域別にTTPを調べるとアジア地域ではハザード比0.720(95%信頼区間:0.457-1.135)、p=0.078だったが、非アジア地域ではハザード比0.865(95%信頼区間:0.576-1.300)、p=0.2438だった。