D2 リンパ節郭清を伴う根治的胃切除術後のステージ3胃癌に対し、S-1ドセタキセルによる術後補助療法は忍容性が高く、術後6週間以内の患者で実施可能であることがフェーズ2試験(OGSG 0604)で明らかになった。八尾市立病院外科の松山仁氏らが、1月19日からサンフランシスコで開催されている2012 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI)で発表した。

 ACTS-GC試験によって、ステージ2/3胃癌根治切除例に対する術後補助療法はS-1が標準治療となった。しかしサブ解析の結果から、ステージ3胃癌に対してはさらなる治療成績の向上が望まれていた。一方、進行胃癌を対象とした無作為化比較フェーズ3試験のSTART試験で、S-1 +ドセタキセルはS-1と比較して、全生存期間(OS)は有意な延長は認められなかったが、奏効率と無増悪期間(TTP)は有意に優れていた。

 そこで術後補助療法としてのS-1 +ドセタキセルを検討するフェーズ2試験が実施された。対象はD2リンパ節郭清を伴う根治的胃切除術を行った病理学的ステージ3胃癌患者で、術後6週間以内の患者。主要評価項目はS-1 +ドセタキセルによる4サイクル投与の実施可能性(feasibility)とし、副次評価項目は安全性、無病生存(DFS)、OS、S-1の1年間投与の実施可能性と設定された。

 なお、この試験で実施可能性は、S-1 +ドセタキセルによる治療4サイクルの場合、解析対象から有害事象による治療中止患者を除いた治療完遂率が75%以上の場合と定義された。

 治療は、3週おきにS-1(80mg/m2/日)を2週間連日投与、ドセタキセル(40mg/m2)を第1日に投与し、これを4サイクル行った。その後、S-1 (80mg/m2/日)単独を4週間投与2週間休薬のスケジュールで、術後1年まで投与した。

 53人が登録され、うち男性が42人、女性11人で、年齢中央値は65歳。PS 0が31人、PS 1が22人、ステージ3Aが36人、ステージ3Bが17人だった。

 この結果、S-1 +ドセタキセルによる治療4サイクルを完遂したのは42人、完遂率は79.2%(95%信頼区間:65.9-89.2)であった。またS-1 +ドセタキセルさらにS-1単独を1年間投与できたのは34人、完遂率は64.2%(同:49.8-76.9)だった。

 S-1 +ドセタキセル治療4サイクルにおいて、計画総用量に対する実際の総用量は、S-1が79.6%、ドセタキセルは87.8%だった。S-1のコンプライアンスはACTS-GC試験とほぼ同じであった。

 DFSは、フォローアップ期間中央値47.3カ月において、3年DFS率が50.3%(95%信頼区間:34.4-73.3)。ステージ別では、ステージ3Aの3年DFS率は59.4%、ステージ3Bは38.1%であった。OSは、フォローアップ期間中央値52.2カ月において、3年生存率が78.8%(同:68.4-90.7)。ステージ3Aの3年生存率は88.7%、ステージ3Bは58.8%であった。

 主なグレード3/4の有害事象は、血液毒性では好中球減少が49.1%、発熱性好中球減少が9.4%に認められた。非血液毒性では食欲不振が9.4%、倦怠感が5.7%、悪心が5.7%であった。治療関連死はなかった。

 S-1 +ドセタキセルによる忍容性が認められたことから、松山氏は、「このレジメンはステージ3胃癌の術後補助療法としてフェーズ3試験の候補になると期待できる」とした。またACTS-GC試験の結果と比較して、「ステージ3Aに対してはS-1 +ドセタキセルはS-1単剤よりも生存率は優れていたが、ステージ3BについてはS-1+シスプラチンなど他のレジメンを考慮する必要がある」と話した。