胃癌でHER2の発現状態を評価する際、日本のように正診率が高い場合は、HER2陽性と診断するのに生検検体数は3-4個で十分であることが明らかになった。またHER2陽性例では手術検体と生検検体におけるHER2スコアの一致率は高いが、HER2陰性例では一致率は低かった。癌研有明病院化学療法科の篠崎英司氏らが、1月19日からサンフランシスコで開催されている2012 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI)で発表した。

 HER2陽性の進行性胃癌患者を対象としたToGA試験で、分子標的薬トラスツズマブの有用性が示された。トラスツズマブ治療には投与する患者を選定するためのHER2のスコアリングが重要となる。しかし手術検体と生検検体ではHER2スコアに違いがあるといわれる。またHER2の発現状態を評価するのに必要な生検検体数も明らかでない。そこで篠崎氏らは、手術検体と生検検体におけるHER2スコアの違い、ならびにHER2の評価に適した生検検体数を検討した。

 対象は、手術検体においてHER2発現状態が3+の患者30例および比較のためHER2 2+、1+、0の患者44例とした。また74例の生検検体232個において、Hercept Testを用いてIHC法でHER2タンパク発現が評価された。なお生検検体は1例あたり平均3.13個(1-6個)だった。

 手術検体と生検検体の一致率を調べた結果、患者ごとの一致率は、手術検体がHER2 3+だった例では80.0%だが、HER2 2+では47.8%、1+もしくは0では47.6%と低かった。生検ごとの一致率はHER2 3+が64.8%、HER2 2+が32.0%、HER2 1+/0が70.1%であった。

 生検検体数で分けると、真の陽性率は3個、4個、5個、6個で大きな違いはなく、生検検体数が3個以下と4個以上では一致率に有意な違いがなかった。このことから篠崎氏は、「今回は対象とした症例数が少ないが、HER2陽性と診断するには生検検体数は3-4個で十分だろう」とした。また日本のように正診率が高い場合は生検検体をたくさん採る必要はないが、「将来的に分子標的薬を投与することを考えて、生検検体を1個ではなく、3-4個採っておくことが望ましい」と話した。