英BTG International社は、1月18日、glucarpidase(製品名「Voraxaze」)が米食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表した。

 適応は、腎機能が低下しているために血中のメトトレキサート濃度が有害なレベル(1μmoL/L超)に上昇してしまう患者。FDAは、同社のグルカルピダーゼに関する生物製剤承認申請(BLA)に対して優先審査を適用した。

 高用量のメトトレキサートは、骨肉腫や白血病、リンパ腫などの癌の治療と再発予防に広く用いられている。投与後、血液に入ったメトトレキサートは腎臓で尿細管に移行し、尿とともに排泄されるが、高用量投与は患者の腎機能を低下させる可能性がある。高用量のメトトレキサートが血液中に長時間存在すると、腎臓のみならず、肝臓、腸上皮、口腔粘膜などを傷害し、皮膚に発疹を引き起こすことが知られている。重篤な場合、血球数減少によって死に至る可能性がある。

 glucarpidaseはメトトレキサートを分解し、無害の代謝産物に変えて、腎臓以外の経路を通じた排泄を促進する酵素で、血中メトトレキサート濃度を迅速に低下させる。50 U/kgを単回静注すると、腎機能が低下している患者に対するメトトレキサートの継続投与による有害事象リスクは下がる。

 有効性の評価を目的とする臨床試験は、22人の患者を対象に行われた。全員にglucarpidaseを投与し、投与から15分以内にメトトレキサートの血中濃度が1μmoL/L以下に下がり、その状態が8日間持続した場合を治療成功と判断した。治療成功は22人中10人だったが、glucarpidaseは患者全員の血中メトトレキサート濃度を95%超低下させており、その状態は8日目まで持続したという。

 安全性は、生後1カ月から85歳までの癌患者290人を登録したオープンラベルの多施設試験で確認されている。glucarpidaseを投与された患者に多く見られた有害事象は、低血圧、頭痛、悪心、嘔吐、潮紅、感覚異常などだった。

 血中メトトレキサート濃度を低下させる治療薬はこれまで無かった。この製品は米国以外では承認されていないが、日本では日本小児血液学会と日本小児がん学会が、必要性の高い薬剤として早期承認を要望している。