局所進行型の鼻咽頭癌患者を対象とする多施設フェーズ2試験の結果、標準的な化学放射線療法にモノクローナル抗体であるベバシズマブを追加すると、遠隔転移なしの2年生存率が90%を超えることが示された。米Memorial Sloan-Kettering癌センターのNancy Y. Lee氏をはじめとするRadiation Therapy Oncology Group(ROTG)による結果で、詳細はLancet Oncology誌電子版に2011年12月16日に報告された。

 強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)の導入により、鼻咽頭癌の局所管理は大きく向上した。が、それでもなお約30%の患者が4-5年間にリンパ節転移または遠隔転移を経験する。ベバシズマブが、多くの進行癌の遠隔転移を抑制し、無増悪生存期間を延長する作用を持つことが示されていたため、著者らは、鼻咽頭癌の標準治療にこれを追加するレジメンの安全性と有効性を評価する臨床試験を行うことにした。

 ステージIIB-IVBの鼻咽頭癌の成人患者を北米と香港の19施設で2006年12月13日から2009年2月5日まで登録した。まず、ベバシズマブ+シスプラチンを投与し、並行して70GyのIMRTを行った後に、ベバシズマブ+フルオロウラシルを投与した。

 主要エンドポイントは、治療開始から1年間の、治療関連のグレード4の出血またはグレード5のあらゆる有害事象に設定された。

 登録された46人の患者のうち分析対象として条件を満たしたのは44人で、追跡期間の中央値は2.5年だった。

 ベバシズマブの忍容性は高く、グレード3-4の出血は見られず、グレード5の有害事象の報告もなかった。9人(20%)が治療関連のグレード1-2の出血を経験していた。最も多く見られた有害事象は、血液または骨髄に関連した合併症(36%)、急性粘膜炎(77%)などだった。

 2年間の局所増悪なしの生存率は83.7%(95%信頼区間72.6-94.9)、遠隔転移無しの生存率は90.8%(95%信頼区間82.2-99.5)、無増悪生存率は74.7%(95%信頼区間61.8-87.6)、全生存率は90.9%(95%信頼区間82.3-99.4)になった。これらは、過去に行われた臨床試験で化学放射線療法のみが適用された患者群に見られた生存率より高かった。また、著者らによる、遠隔転移なしの2年生存率の予測値(70%)を大きく上回る結果となった。

 著者らは、予期せぬグレード3以上の有害事象は見られなかったが、安全性とコンプライアンスをさらに高めるために、遠隔転移リスクが高い患者、すなわちベバシズマブ追加によって利益が得られる患者を同定する方法を確立するための研究が必要だと述べている。