米国食品医薬品局(FDA)は、11月18日、米国でのベバシズマブの転移性乳癌への適応を取り消すことを最終決定した。ベバシズマブは、米国で2004年に大腸癌に承認されて以来、複数の癌に用いられているが、今回の承認撤回は乳癌以外の癌への影響はないとしている。

 ベバシズマブは、2008年2月、E2100フェーズ3臨床試験で無増悪生存期間(PFS)を5.5カ月延長したとの知見に基づいて、パクリタキセルとの併用で転移性HER2陰性乳癌の一次治療に迅速承認された。しかし、その後の追加試験において、PFSの改善はわずかであり(1カ月未満〜2.9カ月)、全生存期間(OS)の改善や十分な臨床的有用性が示されなかった。

 さらに、ベバシズマブの使用には重篤な有害事象が伴い、ベバシズマブを化学療法と併用した場合、心臓発作や心不全、脳卒中、出血、消化管穿孔、肺動脈塞栓、重度の高血圧など多くの重大な副作用が有意に高まる。

 2010年12月、FDA癌治療薬諮問委員会(ODAC)はこうした重大なリスクを上回るだけの有効性は認められないとして、12対0の全会一致でベバシズマブの乳癌適応取り下げを採択し提言したが、製造元であるスイスRoche社傘下のGenentech社は自主的な承認取り下げに応じなかった。

 今回の承認取り消し決定の発表後もGenentechは、最大の利益を得る患者の特定に注力するとしている。また、パクリタキセルとの併用で化学療法未治療の転移性乳癌患者に対するベバシズマブの新たなフェーズ3試験を計画通り開始すると表明した。

 ベバシズマブは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を標的とするモノクローナル抗体薬で、初の血管新生阻害剤である。現在、大腸癌、非小細胞肺癌、腎臓癌、脳腫瘍にも承認され、日本でも大腸癌、肺癌に続き、今年9月に進行乳癌治療に承認された。