米Incyte社は2011年11月16日、米食品医薬品局(FDA)が、中-高リスクの骨髄線維症を適応として「Jakafi」(ruxolitinib;ルクソリニチブ)を承認したと発表した。骨髄線維症に特化した治療薬が米国で承認されたのはこれが初めて。

 骨髄線維症患者の80-90%が中-高リスクに分類される。そこには、原発性骨髄線維症、真性多血症後骨髄線維症、本態性血小板血症後骨髄線維症などが含まれる。

 骨髄線維症は骨髄が瘢痕組織に置き換わってしまう疾患で、骨髄で起こるはずの造血は肝臓や脾臓で行われるようになり、それらの臓器は肥大するが、貧血は解消されない。血小板や白血球の数も減少し、倦怠感、寝汗、体重減少、かゆみなどの症状が表れて、QOLが低下する。造血幹細胞移植は治癒の可能性を有する唯一の治療だが、かなりのリスクを伴い、移植関連死亡率は高い。

 ruxolitinib(開発名INCB18424またはINC424)は、JAKの1と2を選択的かつ強力に阻害する経口薬で1日2回服用する。JAK経路は血液細胞の増殖を制御しており、この経路の異常な活性化は、フィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性のがん(原発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症など)の発生に関与することが知られている。骨髄線維症はJAK遺伝子が関与する骨髄増殖性腫瘍の中でも予後不良といわれている。

 安全性と有効性は臨床試験COMFORT-IとCOMFORT-IIで確認された。2件の試験は、利用可能な治療に反応しなかった、または骨髄移植が適用できない計528人の患者を登録。全員に脾腫が認められ、治療を必要とする骨髄線維症関連症状を有していた。COMFORT-Iはruxolitinibまたは偽薬のいずれかに、COMFORT-IIはruxolitinibまたは現在利用可能な最善の治療(ヒドロキシウレアまたはグルココルチコイド)のいずれかに患者を割り付けた。

 どちらの試験でも、MRI検査で脾臓の体積が35%以上縮小していた患者の割合はruxolitinib群で高く、COMFORT-1では、骨髄腫関連症状が50%超減少した患者の割合もruxolitinib群の方が多いことが示された。治療の効果は投与開始から1カ月以内に現れ、投与期間中は持続した。

 有害事象として、血小板減少症、貧血などが見られたが、これらは管理可能で、治療中止を余儀なくされた患者はまれだった。