ヒートショックたんぱく質90(HSP90)阻害剤であるAUY922は日本人に対して認容性があり効果も期待できることが明らかとなった。国内で実施されたフェーズ1試験の最終結果。日本ではノバルティスファーマがHER2陽性胃癌を対象にトラスツズマブと併用するフェーズ2試験を行っているという。成果は11月12日から16日まで米国サンフランシスコで開催されたAACR-NCI-EORTC International Conference MOLECULAR TARGETS and CANCER THERAPEUTICSで、静岡がんセンターの小野澤祐輔氏によって発表された。

 フェーズ1試験は、少なくとも1ラインの標準全身療法を受けたことがあるか、標準療法のない成人の日本人進行固形癌患者を対象に、用量増多試験で実施された。AUY922は28日を1サイクルとして週1回、1時間をかけて静脈内投与された。2008年11月から2011年7月までに7段階の用量(8mg/m2が3人、16mg/m2が3人、22mg/m2が3人、28mg/m2が5人、40mg/m2が3人、54mg/m2が6人、70mg/m2が8人)で31人の患者が投与を受けた。患者の平均年齢は56歳だった。PS0が21人、PS1が10人。患者の癌種は直腸癌(10人)、大腸癌(7人)、乳癌(5人)などだった。

 薬剤が投与されていた期間の中央値は11.1週(0.1-58.1)で、データカットオフの2011年7月5日時点で2人の患者が投与を継続されていた。

 54mg/m2群の1人の患者で用量制限毒性と考えられる2件の副作用が認められた(グレード3の倦怠感、グレード3の食欲不振)。薬剤に関連する副作用としては、全用量で軽度から中等度の下痢、夜盲、吐き気が認められた。視覚毒性(夜盲、光視症、白内障、眼障害、視神経炎、霧視)が22mg/m2から70mg/m2の用量群で見られたが、すべてグレード1、2で、薬剤の中断、中止によって回復した。フェーズ2推奨用量は海外のフェーズ1試験の結果と同じ70mg/m2となった。更なる用量増加も可能だったが、視覚の毒性を考慮して実施されなかった。

 抗腫瘍効果は、54mg/m2群の1人で部分奏効(PR)が認められ、10人(うち5人が70mg/m2群)で少なくとも8週間の病勢安定(SD)が得られた。