メトトレキサートやペメトレキセドなどの葉酸代謝拮抗薬は、KRAS遺伝子に変異はあるが遺伝子増幅が見られない非小細胞肺癌(NSCLC)患者に高い効果を持つ可能性が明らかとなった。細胞株の解析から示されたもの。一方、KRAS遺伝子に変異があり遺伝子増幅している場合と、KRAS遺伝子野生型では葉酸代謝拮抗薬は有効性が相対的に弱いという。成果は11月12日から16日まで米国サンフランシスコで開催されているAACR-NCI-EORTC International Conference MOLECULAR TARGETS and CANCER THERAPEUTICSで、米Quintiles Translational社のSarah Bacus氏が発表したもの。

 研究グループは、まず、KRAS野生型のNSCLC細胞株、KRAS変異型で遺伝子増幅のないNSCLC細胞株、KRAS変異型で遺伝子増幅のある3種の細胞株をメトトレキサート、ペメトレキセドで処理し、72時間後に増殖を調べた。その結果、7種中5種のKRAS野生型のNSCLC細胞株、KRAS変異型で遺伝子増幅のあるNSCLC細胞株はメトトレキサートに抵抗性を示した(IC50が10μM超)。一方、KRAS変異型で遺伝子増幅のない細胞株はすべてメトトレキサートが有効だった(IC50が100nM未満)。ペメトレキセドについても同様な結果が確認された。

 米国国立癌研究所(NCI)Developmental Therapeutics Programの抗癌剤スクリーンデータベースでも、KRAS変異と薬剤の効果の関係、NSCLC細胞株に対する葉酸代謝拮抗薬について同様な傾向が確認された。

 細胞周期の解析から、KRAS変異型で遺伝子増幅のないNSCLC細胞株でのみメトトレキサート処理でS期における周期抑制が働いていた。また、メトトレキサートで処理すると、KRAS変異型で遺伝子増幅のあるNSCLC細胞株、KRAS野生型細胞株ではKRAS遺伝子の発現が低下したのに対し、KRAS変異型で遺伝子増幅のないNSCLC細胞株では低下しなかった。

 Bacus氏はKRAS変異型患者でペメトレキセドが極めて高い効果を示した例を2例紹介した。また文献的に臨床試験の結果を解析し、KRAS遺伝子変異型の患者でペメトレキセドが有効ではない患者について、KRASの遺伝子増幅が起きている可能性を指摘した。

 Bacus氏は「KRAS遺伝子の変異と増幅の両方を調べた方が良い」と語った。