ALK(anaplastic lymphoma kinase)が炎症性乳癌(IBC)の急速な増殖、転移の主要因子である可能性が明らかとなった。IBCの細胞株、患者検体でALK遺伝子の異常増幅が確認され、in vitro、in vivoの実験でALK阻害剤が効果を示すことが明らかとなった。現在、ALK阻害剤のフェーズ1試験が開始されているという。成果は11月12日から16日まで米国サンフランシスコで開催されているAACR-NCI-EORTC International Conference MOLECULAR TARGETS and CANCER THERAPEUTICSで、米MD Anderson Cancer CenterのFredika M. Robertson氏によって発表された。

 炎症性乳癌の診断は難しく、5年生存率が40%と言われている。

 研究グループは、IBC患者から採取した臨床検体、確立されたIBC細胞株、新たに確立したIBC細胞株、IBC移植モデルを対象に、逆相プロテオミクス解析、ホールトランスクリプトーム解析、FISH、リアルタイムPCR、ウェスタンブロットの技術を用い、IBCで活性化している経路を探索した。

 その結果、研究グループはALKの活性化がIBC細胞株で、ALK遺伝子異常を持つ非小細胞肺癌患者で見られているレベルと同等に向上していることを見つけた。さらにIBC患者15人中13人(86%)でALK遺伝子の増幅(3倍から7倍)が見られることを確認した。乳癌全体ではALK遺伝子の増幅は2%程度といわれている。さらにFISH法でIBC細胞株の66%で増幅が見られることも見出した。

 転移を有する炎症性乳癌患者から樹立した細胞株と細胞株を移植した動物モデルで、パクリタキセルは抵抗性を示し、ALK阻害剤であるクリゾチニブが低濃度で癌細胞を死滅させることも確認した。