日本における肝細胞癌(HCC)の5年生存率が大幅に改善していることが明らかになった。日本肝癌研究会による過去から最新の全国原発性肝癌追跡調査(1965年から2年おきに実施)の結果を5年ごとに区切って解析したところ示されたもの。最新のデータは第18回調査(2004年から2005年)のもので、2009年に日本語で出版され、2010年に英文誌に掲載された。第18回調査では2万153件の新規HCC患者が報告され、フォローアップ例は544施設、3万677件となった。信頼性が高い1978年から2005年の間のHCC患者17万3378人のデータが全生存期間の解析に利用された。成果は11月4日から8日にサンフランシスコで開催された米国肝臓病学会(AASLD)で、近畿大学消化器内科教授の工藤正俊氏によって発表された。

 解析の結果、17万3378人全体の5年生存率は37.9%、10年生存率は16.5%だった。HCCの5年生存率は、1978年から1982年の患者の5.1%に比べて、1983年から1987年が13.9%、1988年から1992年が24.9%、1993年から1997年が32.0%、1998年から2002年が38.8%、2003年から2005年の最新データでは42.7%に上昇していた。また全生存期間中央値も4カ月から50カ月へと延長していた。

 手術を受けた42万7131人の5年生存率は2001年から2005年の患者では63%、局所アブレーションを受けた患者37万1961人で2001年から2005年の患者では60%、肝動脈化学塞栓療法(TACE)を受けた6万1460人で2001年から2005年の患者では40%だった。

 2002年から2003年に化学療法を肝動脈内投与(レジメンは5FU+シスプラチン、インターフェロン+5FU)された患者の奏効率は45.9%、疾患制御率は76.5%だった。最新の2001年から2005年の患者で肝動脈内投与を受けた患者の5年生存率は38%、生存期間中央値は35カ月だった。

 工藤氏は成績が改善してきた理由について、学会レベルでハイリスク患者の超音波とAFP値によるサーベーイランスが必要と認識され、1980年頃に全国的に定着したこと、1985年頃に肝動脈化学塞栓療法(TACE)が確立されたこと、1990年頃に経皮的エタノール注入療法(PEIT)が確立されたこと、1995年頃に肝動注化学療法(HAIC)が確立されたこと、2000年頃にラジオ波焼灼療法(RFA)が確立されたことを挙げた。早期検出が行われ、治癒切除技術、腫瘍減量技術、緩和技術が進歩してきたことによるものだ。

 工藤氏は、ソラフェニブなどの分子標的薬によって新たな治療が確立され、適切に応用されればHCC患者の生存期間はさらに改善することが期待できると指摘した。