手術不能の肝細胞癌(HCC)に対してソラフェニブが投与された患者は、日本では他の地域よりも多くの治療歴を持ち、診断、最初の手術からが長いにも関わらず、ソラフェニブ投与からの全生存期間(OS)は、他の地域と同等である可能性が明らかとなった。HCCに対する実臨床でのソラフェニブ治療の様式や患者背景、治療成績などを追跡して評価する国際的な大規模研究であるGIDEON試験の2回目の中間解析の結果から判明したもの。成果は11月4日から8日にサンフランシスコで開催された米国肝臓病学会(AASLD)で、近畿大学消化器内科教授の工藤正俊氏によって発表された。

 2回目の中間解析は安全性について1571人、有効性について1612人の患者を対象に行われた。

 解析の結果、最初の診断時のBCLCステージAの患者は米国が17%、欧州が22%、ラテンアメリカが29%、アジアパシフィックが12%に対して、日本は42%と他の地域より多く、日本では他の地域よりも早期に診断、治療が行われていることが分かった。その結果、最初の診断から死亡までの期間の中央値は、他地域が16から37カ月なのに対し、日本は100カ月と長いことに結びついていると考えられるとされた。ソラフェニブ投与開始時のChild-Pugh分類Bの患者は全体では23%で、米国が32%、欧州が22%、ラテンアメリカが47%、アジアパシフィックが20%、日本は12%で、日本では他の地域よりもより状態のいいChild-Pugh分類Aの患者に投与されていた。

 肝動脈化学塞栓療法(TACE)やラジオ波焼灼治療(Radiofreequency Ablation:RFA)の局所療法は日本では84%の患者に行われ、他の地域(29から69%)よりも高率だった。さらにTACEを6回以上受けた患者は米国が1%、欧州が5%、ラテンアメリカが0%に対して、アジアパシフィックが17%、日本は23%と高かった。HCCの診断からソラフェニブ投与開始までの期間中央値、HCCの最初の手術からソラフェニブ投与開始までの期間中央値は日本が30カ月(他地域は1から3カ月)、32カ月(他地域は3から18カ月)と長かった。

 重篤な副作用の発現率は米国が高かったが、他の地域は差がなかった。薬剤関連副作用は、全グレード、グレード3以上ともに日本が他の地域よりも高い傾向があった。

 地域ごとのソラフェニブ投与開始からの予備的なOS中央値を調べると、米国(308人)が257日(95%信頼区間216-291)(8.4カ月)、欧州(615人)が285日(95%信頼区間255-316)(9.4カ月)、ラテンアメリカ(59人)が380日(95%信頼区間219-NE)(12.5カ月)、アジアパシフィック(469人)が240日(95%信頼区間201-294)(7.9カ月)、日本が283日(95%信頼区間232-394)(9.3カ月)と、患者背景が異なるにも関わらず差がなかった。