進行肝細胞癌(HCC)患者にソラフェニブを投与した場合、血清中のVEGF(血管内皮成長因子)濃度が一旦上昇したあと、減少する患者は予後が良い可能性が明らかとなった。投与を受けた臨床検体の解析から明らかとなったもの。成果は11月4日から8日にサンフランシスコで開催された米国肝臓病学会(AASLD)で、武蔵野赤十字病院の土谷薫氏によって発表された。

 土谷氏らは、2010年1月から2011年4月の間に同病院でソラフェニブの投与を受けた35人の進行手術不能HCC患者について、血清中のVEGF濃度をソラフェニブ投与前、投与2週間後、その後は毎月、ソラフェニブの投与が中止になるまで測定した。35人のうち男性が28人で平均年齢は71±9歳だった。

 測定の結果、35人中27人(77.1%)でソラフェニブ投与2週間後または1カ月後に、投与前に比べて血清VEGF濃度が増加していた。ソラフェニブ投与を10日以内に中止した2人を除くと、33人中27人で投与後1カ月以内に血清VEGF濃度が増加していた。一方、28人中21人でソラフェニブ投与後2カ月以内に血清中VEGF濃度の減少が認められた。

 ソラフェニブ投与後2カ月以内に血清VEGF濃度が投与前と比べて減少した患者をVEGF低下群とし解析した。

 VEGF低下群と低下しなかった群で全生存期間(OS)中央値を調べたところ、低下群は13.8カ月、低下しなかった群は5.8カ月と有意に低下群で延長していた(p=0.0029)。

 土谷氏は血清VEGF濃度変化を調べることは、ソラフェニブの効果測定、予後予測に利用できる可能性があるとしている。