組み換え腫瘍溶解性ウイルス製剤JX-594が進行肝細胞癌(HCC)患者を対象にした無作為化フェーズ2試験HEP007で有望な結果が得られたことが明らかとなった。対照群である低用量投与群(高用量群の10分の1)の全生存期間(OS)中央値が6.7カ月だったのに比べて高用量投与群では13.8カ月と有意に延長していた。高用量群は死亡のリスクは約60%(ハザード比が0.41)減少していた。成果は11月4日から8日にサンフランシスコで開催された米国肝臓病学会(AASLD)で、HEP002試験の最終結果として米国University of California, San Diego Moores UCSD Cancer CenterのTony Reid氏によって発表された。

 JX-594は、ワクシニアウイルスのチミジンリン酸化酵素遺伝子欠失株に顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)遺伝子を挿入した組み換えウイルス製剤で、癌細胞でのみ増殖し細胞を溶解させるとともに、GM-CSFが免疫反応を刺激するよう設計されている。このウイルスは、複製による癌細胞の溶解、血管破壊による腫瘍への血液供給の遮断、身体の癌細胞に対する免疫反応の誘導という3つの作用を持つ。溶解した癌細胞から放出されたJX-594は、体内の局所および遠隔部位に残存する癌細胞に感染し、体内の癌細胞を根絶させると考えられている。

 HEP007試験は、米国、カナダ、韓国で30人の進行HCC患者を対象に行われた。多くの前治療歴を有する患者だが、80%はソラフェニブの投与経験はなかった。

 患者はJX-594を高用量(1×109)投与群と低用量(1×108)投与群に分けて行われた。JX-594は1日目と15日目、29日目の3回、腫瘍内に投与された。患者背景は高用量群が低用量群に比べて全身治療歴のある患者が多く(38%と7%)、腫瘍の数が4個以上の患者が多かった(62%と43%)。

 低用量投与群のOS中央値は6.7カ月、高用量投与群は13.8カ月で、p=0.029で有意に高用量群で延長していた。

 副作用は低用量群(11人)ではグレード3の腹痛が1人、食欲不振が1人、高用量群(15人)ではグレード3の発熱が2人、腹痛が2人だった。