米Texas大学MD Anderson癌センターなどの研究者たちは、卵巣癌のうちの高悪性度漿液性腺癌の患者を対象に、BRCA遺伝子の状態と臨床転帰について分析し、BRCA2変異陽性者はそれ以外の患者と比べ、5年生存率、3年無増悪生存率が高く、プラチナ製剤ベースの化学療法に対する反応が良好であることを明らかにした。一方で、BRCA1変異は患者の転帰に好ましい影響を及ぼしていなかった。詳細はJAMA誌2011年10月12日号に報告された。

 BRCA1とBRCA2遺伝子に変異があると、乳癌と卵巣癌のリスクは上昇する。これまでは、これら2種類の変異はひとまとめにして語られることが多かったが、今回、卵巣癌において転帰に有意な違いがあることが明らかになった。得られた結果は、卵巣癌治療の個別化を促進するだろう。

 著者らは、Cancer Genome Atlasプロジェクトを通じて316人の高悪性度卵巣癌患者に関するデータを得、それぞれのゲノムと臨床データを照会することにより、BRCA1陽性者とBRCA2陽性者、BRCA野生型患者の生存期間や治療に対する反応性を比較した。

 主要エンドポイントは全生存率と無増悪生存率に、2次エンドポイントは化学療法に対する反応性に設定した。

 316人中29人はBRCA2変異陽性、37人はBRCA1陽性だった。腫瘍の悪性度、病期、組織型とBRCA変異の間に関係は見られなかった。

 5年生存率は、BRCA野生型患者が25%、BRCA2変異陽性患者は61%で、調整ハザード比は0.33(95%信頼区間0.16-0.69、p=0.003)になった。BRCA1変異陽性者は44%で、野生型患者と比較したハザード比は0.76(0.43-1.35、p=0.35)と有意差を示さなかった。

 3年無増悪生存率は、BRCA2変異陽性者が44%、野生型患者は16%で、調整ハザード比は0.40(0.22-0.74、p=0.004)。BRCA1変異陽性者は22%でハザード比は0.81(0.48-1.38、p=0.44)だった。

 BRCA2変異陽性者は全員が最初に適用されたプラチナ製剤ベースの化学療法に反応した。しかし、BRCA野生型患者ではその割合は82%、BRCA1変異陽性患者では80%だった。

 BRCA2変異陽性者では最初のプラチナ製剤ベースの化学療法の効果が持続し、プラチナ製剤の投与再開までの期間は18カ月になった。BRCA野生型患者では11.7カ月、BRCA1変異陽性患者では12.5カ月だった。