米Celgene社は10月6日、未治療の進行膵癌患者を対象としたフェーズ1/2試験の結果が、10月3日のJournal of Clinical Oncologyオンライン版に掲載されたと発表した。同試験では、「アブラキサン」(一般名:パクリタキセル注射剤[アルブミン懸濁型])とゲムシタビンを併用した場合の奏効率は48%で、有害事象も忍容可能であることが示された。
 
 アブラキサンは人血清アルブミンにパクリタキセルを結合させたナノ粒子製剤。乳癌を対象に国内外で承認されている。ナノ粒子製剤としたことで生理食塩液での懸濁が可能となったため、ステロイドなどの前投薬が必須ではなくなり、点滴時間が短縮され、アルコール過敏症の患者にも投与が可能になるなどの利点が得られている。
 
 今回のフェーズ1/2試験の対象は、計67人の進行膵癌患者。28日を1サイクルとして、1、8、15日目にアブラキサン100mg/m2を20人、125mg/m2を44人、150mg/m2を3人にそれぞれ投与し、その後ゲムシタビン1000mg/m2を投与した。フェーズ1試験におけるアブラキサンの最大耐用量(MTD)は125mg/m2となった。
 
 MTDの125mg/m2では44人中21人(48%)で奏効が得られ、病勢コントロール率は68%だった。無増悪生存期間(PFS)の中央値は7.9カ月(95%CI:5.8〜11.0)、全生存期間(OS)の中央値は12.2カ月(95%CI:8.9〜17.9)となった。1年生存率は48%だった。
 
 さらにsecreted protein acidic and rich in cysteine(SPARC)の値を36人で評価し、Zスコアの平均が0以上の「high-SPARC」群は19人、0未満の「low-SPARC」は17人だった。OSの中央値は、high-SPARC群17.8カ月、low-SPARC群8.1カ月となり、前者で延長した(p=0.0431)。性別や人種、年齢、治療、ベースラインのCA19-9などを調整した多変量のCox回帰モデルでも、SPARCの値がOSの有意な予測因子であった(p=0.041)。
 
 注目すべき点は、OSは間質でのSPARCの発現と強く相関する(p=0.013)が、腫瘍細胞での発現とは相関がみられない(p=0.15)こと。間質でのSPARCの発現は生存期間が不良であることと関連し、アブラキサンの独特な作用機序が示唆されている。
 
 フェーズ1試験で多くみられた用量制限毒性(DLT)は敗血症と好中球減少だった。フェーズ2試験で多くみられたグレード3以上のアブラキサンに関連する有害事象は、非血液毒性では、疲労感(21%)、感覚ニューロパチー(15%)、血液毒性では、好中球減少(67%)、白血球減少(44%)、血小板減少(23%)だった。
 
 転移を有する膵癌患者を対象に、アブラキサンとゲムシタビンの併用とゲムシタビン単剤を比較する国際的な無作為化フェーズ3試験が現在進められており、今回報告されたデータについて確認中である。