スイスNovartis社は9月8日、欧州委員会(EC)が、結節性硬化症(TSC)に伴う脳室上衣下巨大細胞性星状細胞腫(SEGA)で、手術の適応にはならないが介入が必要な3歳以上の患者の治療薬として、経口mTOR阻害剤エベロリムス(欧州での予定商品名:Votubia)を承認したと発表した。

 TSCはTSC1またはTSC2遺伝子の変異によって引き起こされる。これらの遺伝子変異によりmTORの作用が亢進し、腫瘍細胞の成長や増殖、蛋白合成の異常が起こる。TSCではさまざまな重要な臓器に良性の腫瘍が発生し、痙攣発作、水頭症、発達遅延、皮膚病変などを引き起こし、脳と腎が最も影響を受けやすい。

 SEGAはTSCの患者の最大20%で発生する良性の脳腫瘍である。これまで欧州連合(EU)では、TSCに伴うSEGAの患者の治療選択肢は脳外科手術しかなかった。

 CHMPの肯定的意見を受けての今回の承認は、前向き、非盲検、単群のフェーズ2試験の結果に基づく。この試験の対象は、SEGAの増殖を認める患者28人。27人が6カ月間の治療を完遂した。このうち21人(78%)において、ベースラインと比較して6カ月の時点でSEGAの最大病変の体積が30%以上縮小し、9人(33%)では50%以上の縮小を認めた。

 さらに、プラセボ対照のフェーズ3試験の結果が7月のInternational TSC Research Conferenceで報告され、主要評価項目(SEGAの奏効率)が達成された。エベロリムスを投与した群の患者の35%でSEGAが30%以上縮小していた。

 このフェーズ3試験の結果を報告したポーランドChildren’s Memorial Health Institute in WarsawのSergiusz Jozwiak氏は、「今回の承認は、手術しか治療選択肢がなかったEUのTSCに伴うSEGAの患者を治療する上で重要な一歩になる」と話した。

 欧州では、エベロリムスは「アフィニトール」の商品名で、成人の切除不能または転移を有する高・中分化型の進行性膵内分泌腫瘍(膵NET)、ならびに進行性腎細胞癌の治療薬として承認されている。