IGF-1/IGF-2リガンドを中和し、IGF-1Rインスリン受容体A(IR-A)の両方の情報伝達経路を阻害するヒト抗体MEDI-573が、進行固形癌を対象にしたフェーズ1試験で有望な結果が得られたことが明らかとなった。副作用は強くなく、一定量以上で情報伝達を抑止できることが確認された。成果は9月8日から10日にサンフランシスコで開催されたBreast Cancer Symposium(ASCO Breast)で、米Mayo ClinicのP.Haluska氏によって発表された。

 フェーズ1試験はkarnofsky performance status60以上の進行固形癌患者を対象に行われた。MEDI-573は21日を1サイクルとして、毎週0.5mg/kg(4人)、1.5mg/kg(3人)、5mg/kg(10人)、10mg/kg(3人)、15mg/kg(14人)に投与される群と、3週に1回30mg/kg(3人)を投与する群に分けて行われた。投与は病状が進行するか受け入れられない副作用が発現するまで行われた。バイオマーカー解析としてIR-AとIR-BのmRNA発現とホルモン受容体陽性/HER陰性乳癌の比較も行われた。

 試験には37人が参加し、そのうち21人が男性だった。患者の年齢中央値は61歳(37-83)で、前治療レジメン数は2から9だった。患者は膀胱癌が最も多く17人で、肉腫、大腸癌が4人、前立腺癌が3人などで、乳癌患者は1人だった。

 試験の結果、用量制限毒性は認められず、治療関連と思われる主な副作用は、食欲減退(22%)、倦怠感(22%)、吐き気(16%)、下痢(14%)、貧血(11%)だった。代謝関連副作用はグレード4の治療関連低血糖が1人(15mg/kg群)に認められた。高血糖が2人(15mg/kg群)で見られたが、1人は治療と関連はなかった。重篤な副作用は10人で20件認められた。2件の治療関連重篤副作用は15mg/kg群の一人で見られた。

 MEDI-573を投与された患者のうち5mg/kg群の1人をのぞいて遊離IGF-1は完全に抑制された。完全に抑制できなかった患者も90%超抑制した。遊離IGF-2はすべての患者で完全抑制された。抗MEDI-573抗体は検出されなかった。

 ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌患者を調べると、IR-A:IR-B比が周辺正常組織に比べて腫瘍部で有意に高く(p<0.001)、LuminalBでLuminalAよりも有意に高くなった(p<0.001)。またIR-A:IR-B比と増殖関連遺伝子の発現は正の相関を示した。現在、ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳癌患者を対象にアロマターゼ阻害剤とMEDI-573を併用するフェーズ1b/2試験が行われている。