日本人のHER2陽性乳癌患者にラパチニブとカペシタビンを投与して、皮疹、爪周囲炎が副作用として発現した患者では、両剤の効果が高い可能性が明らかになった。1施設のデータで数も少なく、レトロスペクティブな解析だが、興味深い結果となった。成果は9月8日から10日に米国サンフランシスコで開催されているBreast Cancer Symposiumで、埼玉県立がんセンターの永井成勲氏によって発表された。

 ラパチニブは経口投与され、EGFRとHER2のチロシンキナーゼを阻害する。

 今回の解析は、2009年6月から2010年2月まで埼玉県がんセンターでラパチニブとカペシタビンを投与された28人のHER2陽性患者を対象に行われた。アントラサイクリン系、タキサン系、トラスツズマブベースのレジメンを受けても病状が進行した転移を有する乳癌患者だった。21日を1サイクルとして1日目から14日目まで毎日ラパチニブ1250mg、カペシタビン2000mg/m2を投与された。患者の平均年齢は56.5歳、閉経前が8人、閉経後が20人。エストロゲン受容体、プロゲストロン受容体の両方とも陰性が16人、HER2がIHC3+が24人だった。

 試験の結果、全体では部分奏効(PR)が12人(42.9%)、長期病勢安定(long SD)が5人(17.9%)、SDが2人(7.1%)だった。副作用で多いのは下痢、手足症候群、皮疹、爪周囲炎などだった。

 15人の患者が皮疹を起こし、グレード3が1人、グレード2が6人、グレード1が8人だった。皮疹を起こしたグループと起こしていないグループで奏効率を調べると、皮疹を起こしたグループが73.3%、起こさなかったグループが7.7%と統計学的に有意(p<0.01)な差があった。爪周囲炎を起こしたグループの奏効率は71.4%で、起こさなかったグループの14.2%より有意に高かった(p<0.01)。

 またグレード2、3の皮疹を起こした患者の全生存期間(OS)中央値が97.6週と、起こさなかったグループ52.4週に対して有意に延長していた。爪周囲炎を起こしたグループのOS中央値は96.4週、起こさなかったグループは43.1週で、有意に延長していた。