ベースラインの血清中のIGF-1濃度が高く、VEGF濃度が低いと肝細胞癌(HCC)患者の予後が良い可能性が明らかとなった。さらにIGF-1は肝機能保全を測定する新しい指標となりうることも示された。米国M D Anderson Cancer Centerで2001年から2008年の間に集められた新規HCC患者のうち、評価可能だった288人のデータを解析した結果による。あくまで単施設の結果で、より大規模な研究が必要だが、HCCの新しい予後予測因子になる可能性がある。成果は9月2日から4日に香港で開催されているInternational Liver Cancer Association年会(ILCA2011)で、M D Anderson Cancer CenterのAhmed O Kaseb氏によって発表された。

 解析の対象となった288人は肝硬変を有する患者が60.1%、Child-Pugh分類でAが71.5%、Bが26.4%、Cが2.1%だった。患者全体の全生存期間中央値は13.8カ月(95%信頼区間:11.7-17.3)だった。

 VEGFが450pg/mLを超える場合はVEGF高値群、以下の場合は低値群、IGF-1が26pg/mLを超える場合はIGF-1高値群、以下の場合を低値群として、患者の全生存期間を分析した。その結果、VEGF低値でかつIGF-1高値群が最も長く中央値は19カ月となり、VEGF高値でかつIGF-1低値群が最も短く3カ月で統計学的に有意な差があった(p<0.0001)。

 またBCLC(Barcelona Clinic Liver Cancer staging system)で全身療法の対象となるステージCの189人について調べたところ、全体の全生存期間中央値が11カ月(95%信頼区間:8.58-13.61)に対して、IGF-1高値、VEGF高値患者25人の全生存期間中央値は14カ月(同:9.11-36.3)、IGF-1高値、VEGF低値患者127人の全生存期間中央値は12カ月(10.13-18.97)、IGF-1低値、VEGF低値患者25人の全生存期間中央値は6カ月(4.47-14.27)、IGF-1低値、VEGF高値患者12人の全生存期間中央値は3カ月(2.50-NA)だった。