進行した直腸癌患者において、MRIで術前補助療法の有効性を評価することにより、全生存率(OS)や無再発生存率(DFS)などの転帰が予測できる可能性が示された。この知見は、英Royal Marsden Hospital NHS TrustのGina Brown氏らが行った前向き多施設共同試験(MERCURY試験)のサブグループ解析から得られたもので、詳細は8月29日の「Journal of Clinical Oncology」電子版に掲載された。

 この解析の目的は、術前補助療法施行後の腫瘍縮小グレード(tumor regression grade:TRG)や直腸周囲切除断端(circumferential resection margin:CRM)などのMRIによる評価と、予後との関連性を検討すること。

 対象は、2002年2月から2003年10月までに登録されたMERCURY試験の患者のうち、術前に放射線療法または化学放射線療法を受けた進行した直腸癌患者111人。

 MRIは放射線療法終了後に4〜6週間隔で撮影され、手術は化学放射線療法の終了後6〜8週時に行われた。5年間の追跡は2008年12月に完了している。

 術前補助療法施行前には、111人中81人(73%)で手術をしてもCRMに腫瘍が残存する可能性があると考えられたが、施行後には47人(42%)に減少した。

 5年OSは、術前補助療法によりTRGが良好だった患者では72%だったのに対し、不良だった患者では27%だった。5年DFSは、それぞれ64%と31%となった。

 さらに5年時の局所再発率は、CRMの腫瘍の残存が予測されなかった患者では12%だったのに対し、残存が予測された患者では28%だった。

 今回の結果から、初回の術前補助療法を終了した直腸癌患者の転帰をMRIで予測できることが初めて示された。Brown氏は、「MRIで評価することにより、治療コースの変更やより有効な化学療法の選択が容易になることが明らかになった。最終的に手術を回避できたケースも複数あった」と話した。

 またBrown氏は、術前補助化学療法とその後の化学放射線療法を検討する今後の試験では、「良好に反応し化学療法のみで十分と考えられる患者や、術前にさらに治療が必要な患者のサブグループが同定できる可能性がある」とした。術前補助療法で腫瘍のエビデンスがすべて消失し、医師が手術の必要性に疑問を持つケースもあり、このような患者に何が起こっているのかを検討する試験も開始されているという。