進行肝細胞癌に対してS-1ソラフェニブ併用療法は安全に施行でき、有効な可能性が示された。フェーズ1用量設定試験の結果で、近くフェーズ2臨床試験を開始する予定だ。7月22日から静岡市で開催された第47回日本肝癌研究会で、千葉大学腫瘍内科学の大岡美彦氏が発表した。

 このフェーズ1臨床試験は、2009年9月〜2011年7月まで同院で進行肝細胞癌患者を対象に行われた。目的は、進行肝細胞癌に対するS-1+ソラフェニブ併用療法の最大耐用量と用量制限毒性を決定すること。

 Dose escalation フェーズ1試験として実施し、S-1の14日間投薬/7日間休薬、ソラフェニブ21日間投与を1サイクルとし、病勢進行あるいは中止基準に至るまで継続された。

 対象者は、コホート1としてS-1 48mg/m2(60%量)+ソラフェニブ200mg1日2回(400mg/日)、コホート2aはS-1 48mg/m2(60%量)+ソラフェニブ400mg1日2回(800mg/日)、コホート2bはS-1 64mg/m2(60%量)+ソラフェニブ200mg1日2回(400mg/日)、コホート3はS-1 64mg/m2(80%量)+ソラフェニブ400mg1日2回(800mg/日)、コホート4はS-1 80mg/m2(100%量)+ソラフェニブ400mg1日2回(800mg/日)に割り付け、1サイクル目で用量制限毒性(DLT)を判定した。

 対象者の選択基準は、肝細胞癌で、外科的切除、RFAやTACE、放射線療法など局所治療の適応がないと判断された症例で、肝硬変がないか、あってもChild-Pugh A(5、6点)とした。

 除外基準は、30日以内に肝切除、肝移植、RFA、PEIT、PMCT、TACE、放射線治療などの肝細胞癌に対する治療が実施された症例、腫瘍栓を認めるVp4の侵襲、転移性脳腫瘍を含む中枢神経系腫瘍、症状を伴う骨転移、コントロール不良な高血圧を有する症例などとした。

 用量制限毒性は、7日以上継続するグレード4以上の好中球減少、グレード4の血小板減少、グレード3、4の発熱性好中球減少、対処療法により改善が認められない4日以上継続するグレード3、4の下痢、悪心、嘔吐、グレード3以上の非血液学的副作用(AST、ALT、ALP、γ-GTP、NaおよびK低下、AMY、リパーゼは除く)、AST、ALTについては施設基準上限の20倍以上とした。

 症例は、コホート1が6例、コホート2aが3例、コホート3が3例、コホート4が4例。いずれもChild-Pugh Aで、ステージはIII〜IVb、1例が非B型非C型肝細胞癌だったが、それ以外はC型肝炎、B型肝炎に起因する肝細胞癌だった。

 主要評価項目である用量制限毒性については、コホート1で6例中1例、コホート2a、3では0例、コホート4では4例中3例で、これらの結果から、推奨用量はコホート3に相当するS-1 64mg/m2(80%量)+ソラフェニブ400mg1日2回(800mg/日)と考えられた。

 有害事象については、よく見られたものとして、血小板減少が12例、AST、ALT上昇が12例、手足皮膚症候群が12例、下痢や脱毛がそれぞれ5例などだったが、グレード3、4の事象が見られたのは血小板減少、好中球減少、手足皮膚症候群、腹痛、AST、ALT上昇で、それぞれ1〜3例だった。

 また参考データではあるが、無増悪期間中央値は5.0カ月だった。

 これらの結果から大岡氏は、「推奨レジメンは、S-1 64mg/m2/日を14日間、ソラフェニブ400mg1日2回(800mg/日)を21日間というレジメンを3週間ごとに投与とされた。16例中13例で病勢安定(SD)が認められ、無増悪期間中央値は5.0カ月と、今後が期待できる結果が得られた。S-1、ソラフェニブそれぞれ単剤で認められるもの以外の有害事象は認められなかった」と指摘し、近くフェーズ2臨床試験を開始する予定と締めくくった。