肝細胞癌に対してラジオ波焼灼術RFA)を施行した症例において、αフェトプロテイン(AFP)値の治療後の上昇および治療前AFP-L3分画10%以上の場合、累積再発率が高値であることが明らかとなった。7月28日から静岡市で開催された第47回日本肝癌研究会で、武蔵野赤十字病院消化器科の玉城信治氏が発表した。

 肝細胞癌に対してRFAを施行した症例において、再発を予測できるマーカーはまだ十分に検討されていない。そこで玉城氏らは、RFA前後の腫瘍マーカー値および腫瘍マーカーの推移と再発に関して検討を行った。

 対象は、2008年9月〜2009年11月までに同院を受診した、肝細胞癌に対してRFAを施行した168例。RFA直前および4週後のAFP、AFP-L3分画、PIVKA-IIについて再発との関連を前向きに検討した。

 患者背景は、平均年齢72歳、男性96例、女性72例で、背景肝としてHCVが139例と最も多く、平均腫瘍個数は1.4個、平均腫瘍径は17mmだった。初回治療例は54例で、再治療例は114例だった。患者は全例ミラノ基準内で、RFA施行後、全例CRと判定された。RFA後の平均観察期間は約1年で、観察期間中に60%の患者に肝癌再発が認められた。

 次にAFP 10ng/mL、AFP-L3分画10%、PIVKA-II 40AU/mLをカットオフ値として再発との関連を検討した。

 その結果、治療前AFP値が10ng/mL以上の群は10ng/mL以下の群と比較して有意にRFA後の累積再発率が高かった。治療後のAFP値が10ng/mL以上の群は10ng/mL以下の群と比較して有意に再発率が高く、また、RFA治療前後でAFPが上昇した群はAFPが低下した群に比べて有意に累積再発率が高かった。COXハザード比検定を行った結果、RFA治療前後でAFP値が低下したことは累積再発率に対するハザード比0.47で有意な再発予測因子だった。

 また、治療前AFP-L3分画が10%以上の群は10%以下の群と比較して有意に累積再発率が高く、治療後のAFP-L3分画が10%以上の群は10%以下の群と比較して有意に再発率が高く、またRFA治療前後でAFP-L3分画が上昇した群は低下した群に比べて有意に再発率が高かった。COXハザード比検定を行った結果、治療前AFP-L3分画が10%以下は再発率に対するハザード比0.50で有意な再発予測因子だった。

 PIVKA-IIについても同様に検討を行ったが、治療前PIVKA-II値、治療後PIVKA-II値のカットオフ値で分けた2群、あるいは治療前後のPIVKA-II値が上昇した群と低下した群との間でいずれも再発率に差は見られなかった。これはRFAの適応となる早期の肝癌患者を対象としているため、RFA後の肝癌再発という点に関しては差がみられなかったものと考えられた。

 これらの結果から、AFP値、AFP-L3分画の治療前後の値および治療による変化がRFA後の累積再発率と関連していることが明らかとなった。

 そのため、治療前AFP-L3分画が10%以下でAFP変化が低下したグループは低リスク、治療前AFL-L3分画が10%以上でAFP変化が上昇したグループを高リスク、それ以外を中リスクとして層別化し、再発率の検討を行った。

 その結果、高リスク群の6カ月再発率は約60%、1年再発率は100%、低リスク群の6カ月再発率は約10%、1年再発率は約40%であることが示された。

 これらの結果から玉城氏は、「再発高リスクと考えられる症例では、手術などRFA以外の根治的治療も考慮すべきと考えられる」と締めくくった。