非B型非C型肝細胞癌の半数がアルコール性肝障害に関連する発癌で、23%は非アルコール性脂肪肝NAFLD)および糖・脂質代謝異常を有していることが、国立病院機構肝ネットワークを対象とした調査から明らかになった。7月28日から静岡市で開催された第47回日本肝癌研究会で、国立病院機構長崎医療センター臨床研究センターの戸次鎮宗氏が発表した。

 近年、肝細胞癌においては、C型肝炎B型肝炎に起因する発癌だけでなく、非B型非C型肝細胞癌(以下、NBNC-HCC)が増加傾向にあることが報告されている。しかし、その臨床像は明らかでない。そこで戸次氏は、全国の国立病院機構肝ネットワーク21施設を対象に、2009年1月〜2010年12月に新規に発症したNBNC-HCC患者について検討を行った。

 検討したのは、全施設のNBNC-HCCの発生頻度と病因別分類。NBNC-HCCは、HBs抗原陰性かつHCV抗体陰性とし、アルコール性はエタノール換算20g/日以上の常習飲酒、NAFLDは病理組織でNASHと診断もしくは画像検査で脂肪肝ありかつ常習飲酒歴なしとした。HBV-HCCはHBs抗原陽性、HCV-HCはHCV抗体陽性とした。

 検討の結果、肝細胞癌新規発症例1140例のうち、HCVは666例(58.6%)、HBVは155例(13.6%)、HBV+HCVは14例(1.4%)だったのに対して、NBNC-HCCは305例(26.8%)に上った。

 NBNC-HCC 305例のうち、解析可能な252例について、HCCの原因疾患を検討した結果、15例は自己免疫疾患、118例はアルコール性、43例はNAFLD、いずれにも該当しない例は不明例として75例だった。

 BMI 25以上と定義した肥満合併例は、NAFLD 63%、アルコール性34.2%、自己免疫疾患33.3%で、NAFLDグループは他の原因疾患グループと比較して肥満合併例が有意に多かった。糖尿病合併例は、NAFLD 69.8%、アルコール性46.6%、自己免疫疾患40.0%で、NAFLDグループは他のグループと比較して有意に糖尿病についても合併例が多かった。

 不明例のうち、糖尿病、肥満、高脂血症の合併例を解析した結果、1疾患以上合併している症例は60%(45例)に上り、2疾患以上合併している症例も20%だった。

 これらの結果から戸次氏は、「NBNC-HCCは近年増加傾向にあり、多くが飲酒や生活習慣病と関連していた。肝細胞癌発癌の防止や早期発見のためには、節酒や生活習慣病の予防が重要で、生活習慣病合併例には定期的な経過観察が重要である」と締めくくった。