肝細胞癌に対するソラフェニブ投与の際には、初期の投与中止脱落を防ぐことが重要で、また1日800mg投与がより有効となる可能性が示された。7月28日から静岡市で開催された第47回日本肝癌研究会で、東京女子医科大学消化器外科の片桐聡氏が発表した。

 今回、片桐氏は、ソラフェニブを投与した肝細胞癌65例のうち、処方開始から2カ月以上経過した62症例について、治療効果と臨床背景に関して解析を行った。

 62例の登録時背景は、年齢67歳(50-84歳)、男性比率85%、肝機能Child-Pugh B+Cは19%で、初回治療例は8%だった。ソラフェニブの投与理由は、TAE不応が47%、肝外転移が39%、血管浸潤(Vp3、4)が8%、腎機能低下が5%、本人希望が2%だった。開始用量が800mgだったのは28%だった。

 解析の結果、28日以下の継続投与不能症例は16例(25.8%)で、29日以上の継続投与症例は46例(74.2%)だった。

 継続投与不能例の中止理由は、肝機能悪化が9例(62.5%)、食指不振が2例(12.5%)、多形紅斑が2例(12.5%)、下痢が1例(6.3%)、消化管出血が1例(6.3%)、服用拒否が1例(6.3%)だった。手足症候群で中止となった症例はなかった。

 一方、29日以上の継続投与症例では、mRECIST効果判定でCRが2例(4.3%)PRが1例(2.2%)、SDが18例(39.1%)、PDは25例(54.3%)だった。奏効率は6.5%で、病勢コントロール率は45.7%となった。

 継続投与不能群と継続投与群の患者背景を比較した結果、肝機能Child-pugh B+Cについてのみに有意な違いが見られた。Child-pugh B+C症例は、継続投与群が13%だったのに対して継続投与不能群が38%だった。開始用量が800mgであった症例の割合については、継続投与群30%、継続投与不能群25%で有意な差ではなかった。

 ソラフェニブ投与開始からの生存期間を評価した結果、継続投与不能群が生存期間中央値91日だったのに対して、継続投与群では393日で、継続投与群で有意に延長していた(p=0.0026)。

 また継続投与群のソラフェニブ投与開始からの生存期間について、初回投与量別に解析した結果、400mg以下で開始したグループ(n=32)の生存期間中央値が308日だったのに対して、800mgで開始したグループ(n=14)の生存期間中央値は415日で、800mgで投与開始した症例の方が延長している傾向にあったが、有意な差ではなかった。

 こうした結果から、片桐氏は、「ソラフェニブ投与の際には、初期の投与脱落を防ぎ、1日800mg投与がより有効となる可能性がある」と指摘した。