スイスHoffmann-La Roche社は2011年6月20日、局所進行型または転移性の基底細胞癌(BCC)の患者にヘッジホッグ信号伝達経路を阻害する経口薬vismodegib(開発名はRG3616またはGDC-0449)を投与した枢要なフェーズ2 ERREVANCE BCC試験で好結果が得られたと発表した。試験結果の詳細は、フランスで6月20-23日に開催された欧州皮膚腫瘍学会(EADO)で21日に報告された。

 ヘッジホッグ信号伝達経路を構成するヘッジホッグ蛋白は、発生過程の細胞増殖と分化における重要な制御因子だ。この経路は、細胞表面にある受容体のPatchedホモログ1(PTCH1)とsmoothenedホモログ(SMO)を介して情報を伝達している。成人の細胞では通常、この経路は不活性化されているが、多くの基底細胞癌においてPTCH1遺伝子とSMO遺伝子に変異が存在し、この経路が活性化されていることが明らかになっている。

 米Genentech社が発見したvismodegibは、SMOに対する低分子阻害剤で、ヘッジホッグ経路を選択的に阻害する。同社は、次世代の癌治療用低分子薬の開発に取り組む米Curis社と共にこの製品の前臨床開発を行い、Roche社と共同で臨床開発を進行中だ。臨床開発と商品化の権利は、Roche社、Genentech社と中外製薬が保有する。

 フェーズ2は国際的な多施設試験で、米国、豪州、欧州の31施設で、オープンラベルで行われた。外科的切除が適応にならない、または手術を行うと外見が大きく損なわれる可能性のある部位に病変を有する、放射線治療が禁忌の、もしくは有効ではなかった局所進行型BCC患者71人と、リンパ節、肺、骨と、または内臓に転移を有するBCC患者33人の計104人を登録し、150mgのvismodegibを1日1回、進行が見られるまで、または有害事象によって中止を余儀なくされるまで継続投与した。

 全奏効率は、研究者の分析では局所進行型患者で60%、転移性患者では46%だった。独立したデータ評価委員会が全奏効率を推定したところ、それぞれ43%と30%という結果になり、主要エンドポイントは達成された。データ評価委員会が推定した登録患者全体の無増悪生存期間の中央値は9.5カ月、臨床的有効率は75%だった。

 最も多く見られた有害事象は、筋痙攣、脱毛、味覚異常、体重減少、疲労、悪心、食欲減退、下痢などだった。重症有害事象は、26人(25%)に認められたが、治療関連と見なされたのは4人(4%)のみだった。7人(7%)が死亡したが、研究者たちは治療関連の死亡は1件もないと考えている。