独Boehringer Ingelheim社の米国子会社であるBoehringer Ingelheim Pharmaceuticals社は、2011年5月25日、非小細胞肺癌の患者にアファチニブ(afatinib、開発名はBIBW2992)とセツキシマブを併用したフェーズ1b試験の中間結果が6月3日から7日までChicagoで開催される米臨床腫瘍学会(ASCO)で報告されることを明らかにした。

 非小細胞肺癌で上皮成長因子受容体(EGFR)変異陽性を示す患者に、EGFRのチロシンキナーゼを可逆的に阻害するエルロチニブまたはゲフィチニブを投与していると、一部が治療抵抗性を示すようになる。そうした患者のEGFR遺伝子を調べると、約半数に2番目の変異(T790M)が認められるとの報告がある。この種の患者に対する有効性が示された治療は、現在のところない。

 アファチニブは、EGFRとHER2という2種類の受容体チロシンキナーゼを不可逆的に阻害する経口薬で、前臨床試験では、T790M変異のある細胞株に対して活性を有すること、T790M変異を有する非小細胞肺癌マウスモデルに抗EGFR抗体製剤セツキシマブとアファチニブを併用すると、腫瘍にほぼ完全な反応が見られることが示されている。

 そこで演者らは、エルロチニブまたはゲフィチニブ抵抗性を示すEGFR変異陽性の非小細胞肺癌患者に、アファチニブとセツキシマブを併用した場合の安全性を確認、予備的に有効性も調べるフェーズ1b試験を開始した。患者登録は80人まで行う計画だ。

 これまでに26人の患者を登録し、アファチニブ40mg/日と週2回のセツキシマブ(250mg/m2または500mg/m2)を投与した。ASCOでは、予め設定された最大用量となるセツキシマブ500mg/m2とアファチニブ40mg/日の投与を受けた22人のデータが公開される

 中間評価の時点の治療期間は最も長い患者で5カ月強だった。22人全員について病勢コントロールが達成され、腫瘍サイズは最大で76%縮小した。22人中8人(36%、95%信頼区間17-59)が部分奏効と判定された。うち4人は、T790M変異陽性だった(T790M陽性が確認された患者は13人)。

 最も多く見られたグレード1/2の有害事象は発疹と下痢で、3人(11.5%)の患者がグレード3の発疹を経験した。

 Boehringer社とオランダQIAGEN社は、ASCOと米国の癌診療ガイドライン策定組織であるNCCN(National Comprehensive Cancer Network)が2011年4月に、転移性または再発性の非小細胞肺癌でEGFRチロシンキナーゼ阻害薬が第一選択の候補と見なされる患者に対するEGFR変異の検査を推奨したことを歓迎している。両社は、アファチニブによって利益が得られる患者を同定するためのリアルタイムPCR検査を共同で開発しており、両団体による推奨は、今後の臨床試験に奏効が期待できる患者を登録することを容易にしたと考えている。