スイスHoffmann-La Roche社は5月19日、治療歴がある進行性非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象とした抗Met受容体抗体MetMAbのフェーズ2試験(OAM4558g)の最終結果を発表した。Met高発現の患者では、エルロチニブを単独投与した群と比較して、MetMAbとエルロチニブを併用投与した群で無増悪期間(PFS)と全生存期間(OS)が有意に延長した。

 同試験の詳細なデータは、6月3日から米国シカゴで開催される第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で発表される。

 MetMAbは細胞表面のMet受容体に特異的に結合し、肝細胞増殖因子(HGF)とMetの経路を阻害するモノクローナル抗体。

 OAM4558g試験は国際的な無作為化、多施設共同、二重盲検のプラセボ対照試験で、2009年3月から2010年8月までに治療歴がある進行性NSCLC患者137人が参加した。

 同試験では、患者をMetMAbとエルロチニブを併用する群(MetMAb併用群)またはエルロチニブとプラセボを投与する群(エルロチニブ群)に割付け、エルロチニブ群の患者に進行が認められた場合はMetMAbを投与できることとした。主要評価項目は全患者およびMet高発現の患者のPFSで、腫瘍のMet発現はコンパニオン診断薬で判定した。

 その結果、全患者では両群のPFSに有意差はなく、MetMAb併用群は2.2カ月、エルロチニブ群は2.6カ月だった(ハザード比[HR] 1.09、p=0.687)。しかし、Met高発現の患者のPFSは、MetMAb併用群は2.9カ月、エルロチニブ群は1.5カ月で、MetMAb併用群で約2倍となり、有意に改善した(HR 0.53、p=0.04)。

 さらにMet高発現の患者のOSは、MetMAb併用群は12.6カ月、エルロチニブ群は3.8カ月で、MetMAb併用群で約3倍となった(HR 0.37、p=0.002)。

 一方、Met低発現の患者では、MetMAb併用群の方が転帰は不良だった。PFSは、MetMAb併用群は1.4カ月、エルロチニブ群は2.7カ月(HR 1.82、p=0.050)、OSはそれぞれ8.1カ月と15.3カ月となった(HR 1.78、p=0.158)。 

 これらの結果は、新規薬剤の有効性を評価し、有用性が得られる可能性がある患者とない患者を分類する、コンパニオン診断薬の重要性を強調するものであった。

 頻度が高かった有害事象は、発疹、下痢、疲労感、食欲低下、嘔気、息切れ、末梢浮腫などで、このうち末梢浮腫はMetMAb併用群に多く、23.2%に発現した。エルロチニブ群では7.5%だった。