米国立癌研究所(NCI)の研究グループが、米国に住む中国人、日本人、フィリピン人、ハワイ人など、アジア太平洋地域系アメリカ人のための浸潤性乳癌リスク評価ツールを開発した。これはNCIの乳癌リスク評価ツールBCRAT(Breast Cancer Risk Assessment Tool)を改良したもの。NCI癌疫学・遺伝学研究部門のRayna K. Matsuno氏やMitchell H. Gail氏らが、Journal of the National Cancer Institute 5月11日号に発表した。

 BCRATは、女性の年齢、初潮年齢、出産年齢、乳癌の家族歴、良性乳房生検回数から、5年先ならびに生涯にわたる浸潤性乳癌の発症リスクを予測するもの。乳癌リスクに関する相談や乳癌予防試験の登録の決定などに使われている。当初は白人女性のデータを基に開発されたが、その後、Contraceptive and Reproductive Experiences (CARE)Studyのデータからアフリカ系アメリカ人の「CAREモデル」が作成された。

 今回の改良では、Asian American Breast Cancer Study(AABCS)に登録していた乳癌女性589人と非乳癌女性952人のデータ、および米国の地域癌登録SEER(Surveillance、Epidemiology and End Results)プログラムのデータが用いられた。

 新しい評価ツールは「AABCSモデル」と名付けられた。AABCSモデルに比べて、BCRATを用いた場合のアジア太平洋地域系アメリカ人の乳癌リスクは、ハワイ人を除き、より高いリスクが算出された。研究グループは、AABCSモデルはアジア太平洋地域系アメリカ人の乳癌リスクをより正確に予測することができるとしている。

 なおBCRAT、AABCSは医師が使用するために作られたものであり、また乳癌の既往がある女性や乳癌リスクの高いBRCA1遺伝子変異、BRCA2遺伝子変異のある女性の乳癌リスク評価には適していない。