スイスNovartis社は5月11日、経口mTOR阻害剤エベロリムスが、結節性硬化症(TS)に起因する脳室上衣下巨大細胞性星状細胞腫(SEGA)で、外科的手術が適応とならない3歳以上の患者の治療薬として承認されたと発表した。

 SEGAはTS患者の約20%に見られる良性の脳腫瘍。ほとんどが小児期や青年期の患者で、SEGAによって発作や脳の膨張、発達遅滞、皮膚障害などの症状が引き起こる。増殖が見られるSEGA患者では外科的手術が唯一の治療であった。

 エベロリムスの承認は、SEGA患者28人を対象に米国で行われたフェーズ2試験の結果に基づく。試験では治療開始から6カ月時点で、腫瘍サイズが30%以上縮小した患者が75%(28人中21人)を占め、50%以上の縮小が32%(同9人)に認められた。

 また試験開始時に発作が見られた16人のうち9人で発作頻度が減少した。顔面の血管線維腫も、6カ月時点で87%の患者(評価できた15人中13人)で改善した。エベロリムスの主な副作用は、口内痛、上気道炎、副鼻腔炎、中耳炎、発熱だった。

 米国では2010年に、このフェーズ2試験の結果を基に、エベロリムスはSEGAを適応として追加承認されている。スイス連邦医薬品庁(Swissmedic)には、2009年12月9日までのデータが提出された。

 TS はTSC1遺伝子とTSC2遺伝子の変異によって起こる。これらの遺伝子変異があると、mTOR活性が増加して腫瘍細胞の増殖や血管新生を引き起こし、脳を含め、さまざまな臓器に腫瘍が発生する。エベロリムスはmTOR活性を阻害することで、TSに起因するSEGAの細胞増殖や血管新生を抑制できると考えられている。