スイスHoffmann-La Roche社は5月11日、BRAF V600変異を有する転移性悪性黒色腫の患者を対象として、経口キナーゼ阻害剤vemurafenib(RG7204、PLX4032)の新薬申請を米食品医薬品局(FDA)に、販売承認申請を欧州医薬品庁(EMA)に、それぞれ提出したと発表した。同社は、vemurafenibと共に開発した、BRAF V600変異を判定するための「cobas 4800 BRAF V600 Mutation Test」の申請も行っている。

 vemurafenibは、変異したBRAF蛋白を選択的に阻害する低分子経口キナーゼ阻害剤。悪性黒色腫患者では、約半数にBRAF蛋白の変異が認められる。BRAF蛋白は正常細胞の増殖と生存に関与するRAS-RAF経路の重要な構成要素で、変異により活性状態が持続すると、同経路のシグナル伝達が過剰となり、細胞の増殖が制御不能となる。

 cobas 4800 BRAF V600 Mutation Testは、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)をベースとする診断法で、BRAF V600変異を有する悪性黒色腫の患者を同定するために開発された。

 今回の申請は、2件の臨床試験、BRIM2試験とBRIM3試験の結果に基づいて行われた。

 BRIM2試験は、国際的な多施設共同、単群、非盲検のフェーズ2試験で、BRAF V600変異を有する転移性悪性黒色腫患者132人が参加した。主要評価項目の全奏効率は52%となった。副次的評価項目の無増悪生存期間(PFS)の中央値は6.2カ月で、従来の報告よりも延長した。

 多く発現した有害事象は、発疹、光過敏、関節痛、脱毛、疲労感だった。グレード3の有害事象では皮膚扁平上皮癌の発現が多かったが、これに対しては小手術が行われた。

 BRIM3試験は、国際的な多施設共同、無作為化対照、非盲検のフェーズ3試験で、BRAF V600変異を有する切除不能または局所進行性の悪性黒色腫患者675人が参加した。患者はvemurafenibまたはダカルバジンを投与する群に割付けられた。

 その結果、主要評価項目の全生存期間とPFSはともに、ダカルバジンを投与した群と比較してvemurafenibを投与した群で延長した。安全性プロファイルはvemurafenibの過去の報告と一致していた。

 BRIM2試験の最新データ、ならびにBRIM3試験の詳細なデータは、6月3日から米国シカゴで開催される第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO)で報告される予定である。