サリドマイドやボルテゾミブ、レナリドミドといった新規薬剤が使用されるようになってから、多発性骨髄腫の死亡率は減少していることが、米国の統計データを解析して明らかになった。5月3日〜6日にフランスのパリで開催された国際骨髄腫ワークショップ(IMW)2011で、米University of New Mexico Cancer CenterのE. Libby氏らが発表した。

 Libby氏によれば、まず1969年に化学療法の導入で多発性骨髄腫患者の生存期間が改善したことが報告されている。1980年から90年代には自家幹細胞移植が導入されて、全生存期間が1〜1.5年に延長した。2000年に入ると、新規薬剤の登場で、さらに生存期間は改善されてきた。しかし、これらは65歳未満の患者の結果であり、65歳以上の患者の生存期間の変化はわからなかった。

 そこで米疾病対策センター(CDC)の部局である全国保健統計センターの死亡記録を用い、統計的に有意に変化した点を検出するジョインポイント回帰モデルによって、1969年から2007年までの死亡率の変化を調べ、1年の変化率(APC)を算出した。

 骨髄腫による死亡数は26万2336人、このうち65歳未満が6万4161人、65歳以上が19万8175人だった。65歳未満では、1969年から1995年に死亡率は増加し(APCは0.5%増)、それ以降は激減した(APC 2.35%減)。65歳以上では、1969年から93年に死亡率は増加し、1993年から2002年は変化がなく、2002年以降は減少した(APCは1.77%減)。

 次に、1980年から2007年の生存率の変化について、米国の地域癌登録SEER(Surveillance、Epidemiology and End Results)プログラムのデータを用いて調べた。1980年から89年、1990年から99年、2000年から2007年に分け、各年代に骨髄腫と診断された患者の生存曲線を比較したところ、65歳以下の若年骨髄腫患者(1万297人)では年代とともに生存率は顕著に改善し(p<0.0001)、高齢者(1万5257人)でも生存率の改善が見られた(p=0.005)。

 これらの結果から、「若年骨髄腫患者では幹細胞移植が若年患者の最適な治療法となった時期に死亡率が低下しており、高齢患者ではサリドマイドが2001年に米国で承認されてまもなく死亡率が低下している」とLibby氏。そして「新規薬剤はすべての年齢の骨髄腫患者の生存率の改善に寄与している」とまとめた。