多発性骨髄腫で免疫調整薬であるレナリドミド二次癌の関連性が報告されているが、フェーズ3試験「MM-015」のデータならびに9つの試験を解析したレトロスペクティブ研究の結果、レナリドミド治療で二次癌の発生率はやや高いものの、生存に対して二次癌の影響は少ないことが明らかになった。フランス・パリで開催された国際骨髄腫ワークショップ(IMW、5月3日〜6日)で、イタリアUniversity of TorinoのAntonio Palumbo氏が発表した。

 フェーズ3試験「MM-015」は、初発の65歳以上の多発性骨髄腫患者459人を対象に以下の3群に分けた。まず導入療法としてMPR療法(メルファラン、プレドニゾン、レナリドミド)を投与し、その後、レナリドミド維持療法を行う群(MPR-R)、次に導入療法としてMPR療法を行った後、維持療法としてプラセボを投与した群(MPR)、そして導入療法にメルファランとプレドニゾンのみを投与し、維持療法にはプラセボを投与した群(MP)とした。

 25カ月のフォローアップで、無増悪生存期間(PFS)中央値はMPR-R群が31カ月と最も長く、MPR群は14カ月、MP群は13カ月で、MPR-R群はMP群に比べて増悪リスクを60%低下することが示された(ハザード比0.395、p<0.001)。

 2011年2月28日までに二次癌は、MPR-R群(150人)では12人(8%)、MPR群(152人)は9人(5.9%)、MP群(153人)は4人(2.6%)であった。このうち血液癌はそれぞれ7人、5人、1人で、固形癌は5人、4人、3人だった。年100人あたりの発生頻度はMPR-R群が3.5、MPR群は2.6、MP群は1.1となった。

 また2年時点の死亡・増悪リスクはMPR-R群が45%、MP群は81%だが、2年時点での二次癌のリスクはそれぞれ3%、2%と低かった。さらに増悪と死亡に二次癌を含めた無イベント生存(EFS)を算出した結果、MPR-R群の増悪リスク低下率は二次癌を含めなかったPFSとほぼ同じ(ハザード比0.413)であり、PFSに対して二次癌の影響は少ないことが示された。

 続いてレトロスペクティブ研究ではEuropean Myeloma Network(EMN)で実施した9つの試験が解析された。対象は1年以上フォローアップできた1798人。年齢中央値は69歳、アルキル化剤とレナリドミド治療を受けた患者が30%、自家幹細胞移植(ASCT)後にレナリドミド治療を受けた患者が20%、レナリドミド以外の治療を受けた患者が50%だった。

 二次癌は全患者のうち30人(1.66%)に見られ、血液癌は8人、固形癌が22人だった。治療別ではアルキル化剤とレナリドミド治療の患者では6人(1.1%)で、血液癌が1人、固形癌が5人。ASCT後レナリドミド治療の患者では7人で、血液癌が0人、固形癌が7人。レナリドミド以外の患者では17人(1.89%)で、血液癌が7人、固形癌が10人だった。

 年100人あたりの発生頻度は、全体では0.72、アルキル化剤とレナリドミド治療の患者では0.66、ASCT後レナリドミド治療の患者は0.87、レナリドミド以外の患者は0.67となった。さらにレナリドミド治療以外の患者のうち、MP療法を受けた患者では0.21、MPT療法(メルファラン、プレドニゾン、サリドマイド)では1.38、VMP療法(ボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾン)では0.54、VMPT療法(ボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾン、サリドマイド)では0.28だった。

 レトロスペクティブ研究においても、増悪・死亡リスクに対して二次癌のリスクは低いことから、現時点では生存への影響は少ないとし、「さらに長期のフォローアップが必要である」とPalumbo氏は述べた。