米食品医薬品局(FDA)が「アバスチン」(ベバシズマブ)の転移性乳癌への適応を取り消そうとしていることに、反発しているFreedom of Access to Medicinesなどの患者団体の代理弁護士たちが2011年4月28日、米情報公開法(FOIA)に基づく情報の開示を請求した。

 米国ではベバシズマブは、2008年2月22日にFDAによって迅速承認され、治療歴のない進行したHER2陰性乳癌患者にパクリタキセルと併用されてきた。ところが、迅速承認を正式な承認に変更するために新たな臨床試験結果の評価を進めていたFDAの抗腫瘍薬諮問委員会(ODAC)は2010年7月20日、投票結果に基づいてFDAに承認取り消しを勧告。FDAはこの時点では、ベバシズマブ製造会社である米Genentech社が提出したデータに対する審査期間を延長したため、パクリタキセルとの併用は引き続き可能となっていた。

 結局FDAは10年12月末に、ベバシズマブに全生存期間延長効果は認められず、有害事象の増加が懸念されると結論し、Genentech社に自主的な適応取り下げを求めたが、同社は納得せず、FDAにヒアリングの開催を求めた。ヒアリングは11年6月28-29日に開催される予定だ。

 情報公開の申請者達は、治癒が望めない転移性乳癌患者約1万7500人が頼みの綱としているベバシズマブについては、多くの患者とかかりつけ医がその有効性を訴えているのにもかかわらずFDAが転移性乳癌を適応から外そうとしていることを不満とし、ヒアリングでは患者も擁護者も発言を許されないこと、場所がないからという理由でわずかな人数しか傍聴を許されないことなどに反発、情報の公開を求めている。

 請求されているのは、ヒアリングを実施するODACのメンバーの選抜と任命の過程と委員会の活動、委員会と外部団体との関係などに関する情報や、FDAがベバシズマブの乳癌への適応取り消しを判断した過程、FDAと外部団体とのやりとり、審査過程で出てきたベバシズマブのコストに関係するあらゆる議論の内容、適応取り消しという判断にかかわった人々の利益相反に関する情報、ベバシズマブの利益とリスクの評価や、ベバシズマブと他の既存の薬剤のリスク/利益比の比較、FDAが癌治療薬の有効性と安全性の評価に用いている基準などに関する情報だ。

 一方、欧州では、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が2011年4月15日にベバシズマブの転移性乳癌への適応拡大を推薦している。既にベバシズマブとパクリタキセルの併用は承認されているが、委員会は新たにベバシズマブとカペシタビンの併用も認めるよう求めた。

 これをきっかけに、全米を代表とする 21 のがんセンターで結成されたガイドライン策定組織 NCCN(National Comprehensive Cancer Network)は2回目の投票を行い、ベバシズマブの転移性乳癌への適用維持に賛成多数となったことを報告している。今回の情報公開請求においては、NCCNの判断に反した結論を出したFDAの意思決定過程の詳細を記した文書の開示も求められている。