肺単独転移がある転移性腎細胞癌に対して、スニチニブは他臓器転移に比べて高い効果を示すことが示唆された。海外のフェーズ3臨床試験と国内のフェーズ2臨床試験の結果の再解析から明らかになった。4月21日に名古屋市で開催された第41回腎癌研究会で、東京大学先端科学技術研究センターの赤座英之氏が発表した。

 スニチニブは、転移性腎細胞癌に対する海外のフェーズ3臨床試験において、インターフェロンαに対して有意に優れた効果を示している。同じく転移性腎細胞癌を対象に全例にスニチニブを投与した国内のフェーズ2臨床試験でもスニチニブの良好な結果が示されている。一方、日本においては、肺単独転移の転移性腎細胞癌患者に対してサイトカイン療法は良好な結果を示すことが示唆されている。

 転移性腎細胞癌のうち、肺単独転移例は薬物治療が効果を示しやすいといわれているが、最近登場した分子標的薬の効果についての知見はほとんどない。そこで、今回、海外と国内で実施された2つの臨床試験を再解析することで、肺単独転移に対するスニチニブの有効性について検討した。

 解析データは、転移性腎細胞癌を対象とした海外フェーズ3臨床試験(n=750例)と国内フェーズ2臨床試験(n=51)。両試験の対象者のうち、試験開始時に肺のみに1つ以上の転移を有する患者をサブグループとして解析した。肺単独転移のみの症例は、海外試験では74例(スニチニブ群31例、IFN群43例)、国内試験では12例だった。評価項目は、奏効率、無増悪生存率、全生存率とした。

 患者背景は、海外試験、国内試験ともに肺転移数は中央値2だったが、転移巣のサイズは、海外試験が平均5.9cm(SD 5.5)に対して、国内試験では3.9cm(SD 2.6)で、日本人の転移巣のサイズは海外に比べて小さいことが特徴として見出された。

 性別について、海外試験では肺単独転移のスニチニブ群、IFN群、肺単独転移以外のグループのスニチニブ群、IFN群ともに男性比率が7割で、日本では男性比率は6割だった。年齢の中央値はいずれも約60歳だった。ECOG PSは、海外試験ではPS 0が肺単独転移のグループでは両群ともに74%、肺単独転移以外のグループでは両群ともに60%だった。国内試験では、肺単独転移、肺単独転移以外のグループともにPS 0が8割以上だった。いずれの試験でも群間(グループ間)に有意な差は見られなかった。

 解析の結果、海外フェーズ3試験における奏効率は、肺単独転移のグループについてスニチニブ群は58.1%(IFN群は18.6%)、肺単独転移以外のグループではスニチニブ群36.9%で(IFN群6.3%)、肺単独転移のグループの奏効率は肺単独転移以外のグループよりも高かった。なお、肺単独転移グループ、肺単独転移以外のグループいずれもIFN群よりもスニチニブ群の方が奏効率が高かった。

 国内フェーズ2試験は全例スニチニブを投与されており、肺単独転移のグループと肺単独転移以外のグループに分けて解析した結果、肺単独転移のグループの奏効率は75.0%で、肺単独転移以外のグループでは46.2%だった。

 無増悪生存率については、海外試験では、肺単独転移のグループでスニチニブ群61.4週(IFN群33.9週、IFNに対するスニチニブのハザード比は0.531、p=0.0513)だった。肺単独転移以外のグループでは、スニチニブ群48.0週(IFN群22.1週、ハザード比0.511、p=0.001)だった。海外試験では、肺単独転移のグループに対するスニチニブの効果は肺単独転移以外のグループよりも高く、いずれのグループにおいてもスニチニブ群はIFN群よりも高い傾向にあったということになる。国内試験でも、肺単独転移以外のグループに対して肺単独転移のみのグループは有意に無増悪生存率が良好だった。

 全生存率については、海外試験では、肺単独転移のみのグループは肺単独転移以外のグループよりもスニチニブの効果が高い傾向にあった。国内試験でも、肺単独転移のみのグループは肺単独転移以外のグループに比べて良好な結果だった。

 こうした結果から赤座氏は、海外試験では肺単独転移症例に対してスニチニブは高い奏効率を示し、それはIFNと比べて効果が高く、さらに無増悪生存期間、全生存期間も延長傾向を示したこと、国内試験でも肺単独転移症例に対するスニチニブの投与は、奏効率が75%で、全生存期間は多くの症例で30カ月を超えたとし、肺単独転移に対してサイトカインと同様スニチニブも他臓器転移に比べて高い効果を示すことが示唆されたとした。

 そして最後に赤座氏は、「肺転移が特異的にこうした治療に反応するメカニズムについて検討することが重要だ」と締めくくった。