抗血栓薬を服用している患者の経会陰前立腺生検時において、抗血栓薬を休薬しなくても経会陰生検は安全に実施できることが示された。4月21日から名古屋市で開催された第99回日本泌尿器科学会総会で、大森赤十字病院泌尿器科の浅野桐子氏が発表した。

 高齢化に伴い、前立腺癌患者数が増加する一方で、抗血栓薬を服用する患者も増加している。しかし、抗血栓薬を中止することで脳梗塞などの心血管イベント発症リスクが高まり休薬には注意が必要だ。

 そこで浅野氏らは、2008年1月から2011年3月までに同院にて経会陰14カ所前立腺生検を施行した155例を対象に、抗血栓薬継続下での経会陰前立腺生検の安全性を検討した。

 対象となった患者155例の内訳は、抗血栓薬を服用していない117例、ワルファリン内服群4例、抗血小板薬内服群34例。

 内服なし群の平均年齢が71歳に対し、ワルファリン内服群77歳、抗血小板薬内服群74歳で、抗血栓薬を内服している患者は年齢が高い傾向にあった。

 PSAは内服なし群が18.3mg/dL、ワルファリン内服群24.5mg/dL、抗血小板薬内服群27.8mg/dL。前立腺容積は内服なし群45mL、ワルファリン内服群47.5mL、抗血小板薬内服群41.6mL。出血時間は内服なし群115秒に対し、ワルファリン内服群150秒、抗血小板薬内服群135秒だった。PT-INRは、内服なし群1.01に対し、ワルファリン内服群1.96、抗血小板薬内服群1.007だった。

 生検はTRUSガイド下経会陰14カ所生検で、麻酔は局所麻酔かサドルブロック。予防的抗菌薬として生検前にTFLX 300mg単回内服、第2世代セフェム系薬剤を生検前に単回経静脈投与とした。

 生検後の合併症の分類として、グレード0を合併症なし(2泊3日までの予定入院、退院2週間後までに予約外受診なし)、グレード1を投薬治療(下熱鎮痛剤、α1ブロッカーを除く)や手術、内視鏡的処置、透視下治療などを必要としないもの、グレード2を輸血や止血剤投与など投薬治療が必要なもの、グレード3は手術、内視鏡的処置、透視下治療などが必要なもの、グレード4を脳梗塞を含む致死的合併症、ICU管理が必要なものと定義した。

 その結果、155例全例で予定した経会陰14カ所生検を完遂でき、73例に前立腺癌を認めた。

 そして生検後合併症については、ワルファリン内服群ではグレード0のみ、抗血小板薬内服群ではグレード1が3件で、この3件は会陰部皮下血腫で予約外受診と排尿困難にα1ブロッカーを処方した例だった。

 一方、内服なし群では、グレード1が12件、グレード2が1件で、止血剤処方が1件、血尿によるカテーテル閉塞4件、尿閉で導尿が3件、鎮痛剤使用が2件、予約外受診2件、入院期間延長が1件だった。

 この結果から浅野氏は、抗血栓薬の内服を継続していても局所麻酔下に行う経会陰生検は安全に実施できると締めくくった。