術前のMDCTによる水腎症の程度の評価は、上部尿路上皮腫瘍における術前補助化学療法の適応やリンパ節郭清の必要性などの治療指針を計画する際の一助になることが示された。4月21日から名古屋市で開催されている第99回日本泌尿器科学会総会で、慶應義塾大学泌尿器科学教室の菊地栄次氏が発表した。

 今回、菊地氏らは、手術を行った上部尿路上皮腫瘍症例において、術前の水腎症の有無が生命予後に影響を与えるか、また術前の水腎症の程度が手術検体で得られた病理組織学的所見を予測しうるか検討した。

 対象は、2000〜2009年に、術前のMDCTで評価可能だった腎盂癌35例、尿管癌56例の91例。2名の泌尿器放射線科医により画像を再読影し、片側の水腎症の程度を5段階に分類して評価した。

 水腎症のグレードは、グレード0が腎盂・腎杯の拡張を認めないケース、グレード1は腎盂のみの拡張、グレード2は軽度の腎杯拡張、グレード3は重度の腎杯拡張、グレード4は腎実質の菲薄化を伴うケースとした。

 水腎症の分布は、グレード0が26.4%、グレード1が3.3%、グレード2が18.7%、グレード3が25.3%、グレード4は26.4%だった。

 水腎症のグレード0、1では半分以上が腎盂腫瘍であったが、グレード2以上は多くが尿管腫瘍で、尿管腫瘍は水腎症のグレードが高かった。また水腎症のグレードが上がるほど腫瘍異型度G3の割合が高くなっていた。壁内脈管浸潤も水腎症のグレードが上がるほど陽性率が高まっていた。

 水腎症の有無と予後との関連について、水腎症のグレード0、1の群とグレード2〜4の群を比較した結果、無転移生存率、癌特異的生存率ともに、2群間で有意差は見られなかった。

 菊地氏らはこれまでに173例の検討から、pT3以上、G3、脈管浸潤陽性が予後を予測する因子であることを見出している。

 そこで、pT3以上、G3、脈管浸潤陽性の3つの因子について、水腎症のグレードにより予測できるかどうかを多変量解析によって評価した結果、いずれも有意に独立して予測することが明らかとなった。

 こうした結果から菊地氏は、「術前の水腎症の有無は癌特異的生存や転移発症とは関連がないが、腎盂尿管腫瘍におけるグレード2以上の水腎症は術前に壁内脈管浸潤、pT3以上症例、G3症例を予測しうる因子であった」とまとめ、CTによる水腎症の評価は術前補助化学療法の適応やリンパ節郭清の必要性など、治療指針を計画する上で有用な情報となると締めくくった。