米Standen社の子会社であるNovocure社は、2011年4月15日、米食品医薬品局(FDA)が「NovoTTF-100A」システムの治療適用を承認したと発表した。対象は、多形性膠芽腫で化学療法後に再発した成人の患者だ。

 NovoTTFは装用型の非侵襲的なデバイスで、頭皮の上から腫瘍に向けて非常に弱い中間周波の交流電場を持続的に発生させる。同社はこのような電場を「腫瘍治療電場」(Tumore Treating Fields;TTF)と呼んでいる。分裂中の細胞に連続的にTTFを作用させると、細胞が二分される前の段階で染色体や分離装置の正常な分離が阻害され、分裂はストップする。電場の影響は分裂が早い細胞に顕著に表れ、ゆっくりと分裂する正常細胞にはほとんど認められない。

 NovoTTFは全重量が約3kgで、斜めがけショルダーバッグの中にバッテリーなどの主な装置が入っており、そこから、頭髪をそり落とした頭に貼り付けた電極パッドに向けてケーブルがのびている。患者は、ショルダーバッグを持ち歩く、または自分の脇に置いておくだけで、通常通りの生活を送りながら連続的に治療を受けることができる。

 この治療の有効性と安全性を評価する枢要な無作為化フェーズ3試験は欧米で行われ、主な結果は米臨床腫瘍学会(ASCO)2010で報告された。得られたデータは、NovoTTFの有効性は最善と思われる化学療法に劣らず、有害事象は化学療法より少ないことを示した。

 試験の対象になったのは、外科的治療、放射線治療、化学療法(テモゾロミド)の後に再発した、または進行した患者237人で、NovoTTF(120人)、または、担当医が選択した最善の化学療法(117人)のいずれかに割り付けられた。

 治療期間は、NovoTTF群が平均4.2カ月(中央値は2カ月)、化学療法群は2.6カ月(中央値2カ月)だった。

 NovoTTF治療群と化学療法群の間で全生存期間の中央値に有意差は見られなかった。intention-to-treat分析では、NovoTTF群が6.3カ月(95%信頼区間5.6-7.8)、化学療法群が6.4カ月(5.2-7.4)で、ハザード比は1.0(0.76-1.32)。信頼区間の上限があらかじめ設定してあった非劣性のマージン1.47を超えなかったため、最善の化学療法に対するNovoTTFの非劣性が確認された。

 6カ月時の無増悪生存率、奏効率ともにNovoTTF群で高い傾向を示した。per-protocol分析ではいずれも差は有意になった。完全奏効はNovoTTF群に3人いたが、化学療法群はゼロだった。

 化学療法群に比べNovoTTF群では、嘔吐、悪心、疼痛、下痢、便秘、認知機能の低下や情緒的機能の低下を経験した患者は少なく、QOLは良好だった。NovoTTF群に多く報告された有害事象は、電極直下の軽症から中等症の発疹だった。

 同社はNovoTTFシステムを新規診断多形性膠芽細胞腫患者にテモゾロミドと併用するフェーズ3試験の実施を計画している。加えて、他の固形癌の治療にもこれを用いるために研究を進める予定だ。