米食品医薬品局(FDA)は4月6日、進行した切除不能の甲状腺髄様癌で増殖や症状がみられる成人患者の治療薬として、経口の分子標的薬バンデタニブを承認した。

 米国国立癌研究所(NCI)によると、2010年に米国で新たに甲状腺髄様癌と診断された患者は約4万4600人、死亡した患者は約1690人だった。甲状腺髄様癌は甲状腺癌の中では稀少で、全甲状腺癌の3〜5%とされる。多くみられる症状は、咳、嚥下困難、甲状腺の腫大、頸部の腫脹、声の変化や嗄声などである。このような癌腫に対し、これまでFDAに承認された治療薬はなかった。

 バンデタニブは、血管新生阻害作用と上皮細胞受容体チロシンキナーゼ(EGFR-TK)阻害作用を持ち、甲状腺髄様癌の増殖と進行を阻害する。

 バンデタニブの安全性と有効性は、進行した甲状腺髄様癌患者331人を対象とした国際的な無作為化フェーズ3試験で検証された。この試験では、患者をバンデタニブまたはプラセボを投与する群に割付け、主要評価項目を無増悪生存期間(PFS)とした。

 PFSの中央値は、プラセボを投与した群の16.4カ月に対し、バンデタニブを投与した群は22.6カ月以上となった。バンデタニブを投与した群については、PFSの中央値や全生存期間(OS)を判断するには時期尚早である。

 FDA医薬品評価・研究センター(CDER)、Office of Oncology Drug ProductsのRichard Pazdur氏は、「バンデタニブを承認したことで、稀少で治療が難しい疾患を有する患者に対し、治療を承認するFDAの責任が明白になった」と話した。

 発現の頻度が高いバンデタニブの副作用は、下痢、発疹、嘔気、高血圧、頭痛、疲労感、食欲低下、胃痛などである。フェーズ3試験では、バンデタニブの重篤な副作用により5人が死亡した。死因は、呼吸器合併症、心不全、敗血症などであった。

 バンデタニブは心臓の電気活動に影響することが明らかになっており、不整脈が死亡につながる場合もある。バンデタニブの承認は、FDAによる米国の医薬品市販後安全対策プログラム、Risk Evaluation and Mitigation Strategy(REMS)の下で行われ、重篤な心臓に関するリスクについては医師に通達される。バンデタニブのREMSプログラムで認定された医師と薬局のみが、同剤の処方や調剤を行うことができる。

 なお、バンデタニブは米国ウィルミントンのAstraZeneca Pharmaceuticals LP社が販売しているが、現時点では商品名は確定していない。